葛洪

葛洪について

葛洪（かつこう、283年 - 343年）は、西晋・東晋時代の道教研究者であり、著述家としても知られています。字は稚川、号は抱朴子と称し、時には葛仙翁とも呼ばれています。彼は丹陽郡句容県の出身で、その本貫は琅邪郡です。彼の生涯と業績を詳しく見ていきましょう。

生い立ちと教育

葛洪は後漢の名門に生まれましたが、彼がわずか13歳の時に父を失いました。この出来事により、彼は早くから自立し、薪を売るなどして生活を支えなければなりませんでした。16歳の時に、『孝経』『論語』『易経』『詩経』といった古典を読み始め、その後も様々な史書やさまざまな思想の流派を深く学びました。この頃、特に神仙思想に対する強い興味を持つようになり、父の従兄弟である葛玄や弟子の鄭隠の影響を受けました。彼は鄭隠の弟子となり、馬迹山において壇を設けることで誓いを立てました。この過程で、彼は『太清丹経』『九鼎丹経』『金液丹経』といった、経典に記載のない秘密の口訣を授けられました。

軍事と政治活動

20歳の頃、張昌の乱により江南地方が侵略される危機に直面すると、葛洪は自ら義軍を結成しました。この功績によって彼は伏波将軍に任命され、さらに襄陽で広州刺史となる嵆含に仕官し、九州地方で兵を募集するためしばらく広州に滞在しました。この時期、南海郡の太守である鮑靚に師事し、彼の娘と結婚したとされています。この結婚を通じて、尸解法（自らの死体から離脱して仙人となる技術）について学ぶこととなりました。

著作と晩年

建武元年（317年）頃、彼は故郷に戻り神仙思想や煉丹術に関する理論を著した『抱朴子』を著作しました。同年、東晋の元帝により関中侯に任命され、彼の地位は確立されました。晩年には、丹薬を作るためにベトナム方面への赴任を計画しましたが、家族を連れて広東まで行ったところで刺史によってその計画を阻まれました。その結果、彼は広東の羅浮山に拠点を移し、そこでも丹薬の練成や著述を続けることとなりました。最終的には羅浮山で生涯を閉じており、伝説によれば彼は尸解したとされています。

著作物

葛洪は『神仙伝』『隠逸伝』『肘後備急方』などの多くの著作を残しています。これらの作品は道教や煉丹術の発展に大きな影響を与えました。

関連文献

彼の作品について詳しい文献も多く存在しており、特に『抱朴子』に関する訳注書や文学的背景に触れた書籍がいくつか出版されています。例えば岩波文庫の『抱朴子』や明徳出版社の訳注書などがあります。また、彼の影響を色濃く受けた小説や伝説も存在します。

結論

葛洪の人生は、道教の研究や著作活動を通じて後世に大きな影響を及ぼしました。彼の考えや技術は、現在もなお多くの人々に研究され続けています。

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