九鬼守隆

九鬼守隆の生涯と功績

九鬼守隆（くき もりたか）、旧字体では九鬼守隆は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した武将であり、志摩鳥羽藩の初代藩主である。彼は九鬼氏の12代目当主であり、数々の歴史的な出来事と深く関わっていた。

生まれたのは天正元年（1573年）、父である九鬼嘉隆の次男として誕生した。母方は橘宗忠に属していた。守隆は慶長2年（1597年）に父から家督を継承し、次第にその名を広める。慶長3年（1598年）には、豊臣秀吉の死に際して、遺物兼元の刀を受け取ったことからも、彼の地位や影響力が伺える。

その後、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、徳川家康の命を受けて会津征伐に参加。しかし、石田三成の挙兵を受けて急遽帰国を余儀なくされる。この帰国後、父・嘉隆が西軍に加担していたため、戦後、守隆は家康に対して父の助命を嘆願したが、途中で父は自害してしまった。これに大きなショックを受けた守隆は、嘉隆の死を促した豊田五郎右衛門を厳しく処罰した。

その後、守隆は玉龍山大福寺の改築を行い、寺領を寄進することで父の遺志を追慕した。彼は鳥羽藩初代藩主として5万6000石を領したが、自身の健康問題により長男の良隆を廃嫡し、仏門にあった五男の久隆を後継者にしようとしたが、三男の隆季が反対した。これにより、彼の死後すぐに家督争いが勃発し、藩内は二派に分かれてしまった。

寛永9年（1632年）には守隆が死去し、遺言に従って弟の久隆が藩主に就任したものの、改めて藩の石高は2万石削減され、摂津三田藩に移封される。一方、兄の隆季は新たに丹波に新たな領地を与えられ、丹波綾部藩を設立する。このように、九鬼家の水軍力は大きな損失を被ったものの、家族間の養子縁組は続き、両藩は友好的な関係を維持した。

守隆の墓所は彼が病死した江戸から送り返され、菩提寺の東照山常安寺に埋葬されている。家督争いの結果、遺言に基づき隆季が供養を行ったが、久隆は移封先で新たな菩提寺を建立し、守隆の五輪塔を建てた。さらに、守隆の娘が田原藩の藩主である戸田忠能と結婚したことから、戸田家の菩提寺にも彼に関連する墓が存在する。これは中世からの供養の伝統とも考えられ、その影響は現代にも続いている。

このように、九鬼守隆は歴史の中において重要な役割を果たした人物であり、その生涯は数々の教訓や意味を持ち、現代でも多くの人々に語り継がれている。

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