乳腺炎

乳腺炎（Mastitis）

乳腺炎は、乳腺実質の炎症を指し、特に泌乳動物では産褥性乳腺炎、それ以外の動物では非産褥性乳腺炎として知られています。ごく稀に雄にも発生しますが、一般的には女性に多く見られる疾患です。炎症性乳癌との症状が類似しているため、鑑別が重要となります。

乳腺内は微生物にとって栄養豊富な環境であり、母乳には抗菌物質であるリゾチーム、ラクトフェリン、乳糖などが含まれていますが、完全に微生物の繁殖を防ぐわけではありません。また、乳中には過酸化水素分解酵素が存在し、微量の過酸化水素からチオシアン酸を生成し、殺菌作用を示しますが、乳腺細胞に害を与えることはありません。

分類

乳腺炎は、主に以下の2種類に分類されます。

1. 急性乳腺炎

急性乳腺炎は、主に授乳期の女性に多く見られる疾患で、母乳が乳腺内で詰まり、乳頭から細菌が感染することが原因で発生します。主な症状としては、乳房の張りや痛み、しこり、高熱などが挙げられます。初期段階では抗生物質の服用が有効ですが、症状が進行すると、皮膚を切開して膿を排出する必要がある場合があります。

予防策

乳房マッサージ
赤ちゃんに頻繁に母乳を飲ませる

2. 慢性乳腺炎

慢性乳腺炎は、しこりや硬結、皮膚の発赤、びらん（ただれ）などが主な症状です。原因が特定できない場合も多く、症状や画像所見から乳癌との区別が難しいことがあります。そのため、細胞を採取して検査を行い、正確な診断を行う必要があります。

乳癌との鑑別

乳腺炎と炎症性乳癌は症状が非常に似ているため、鑑別が重要です。特に、慢性乳腺炎の場合は、乳癌との区別が難しいことがあります。そのため、以下のような検査が行われることがあります。

触診
マンモグラフィー
超音波検査
細胞診
組織診

これらの検査を通じて、正確な診断を行い、適切な治療法を選択することが重要です。

治療法

乳腺炎の治療法は、種類や症状の程度によって異なりますが、一般的には以下のような方法が用いられます。

抗生物質の服用
鎮痛剤の使用
冷却
排膿
授乳の中止（一時的な場合）

外部リンク

* 乳腺炎 - コトバンク

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