乾ルカ

乾 ルカ

乾 ルカ（いぬい るか）は、1970年2月11日に北海道札幌市に生まれた日本の小説家です。札幌北陵高等学校を経て、藤女子短期大学の国文科で学びました。

大学卒業後、すぐに作家の道へ進んだわけではなく、金融機関での勤務や官公庁での臨時職員といった様々な職業を経験しました。これらの社会経験が、後の創作活動に何らかの影響を与えているのかもしれません。

小説家としてのデビューは2006年です。短編「夏光」が、文藝春秋が主催する歴史ある文学賞、第86回オール讀物新人賞を受賞したことにより、そのキャリアが始まりました。この時の新人賞は、小野寺史宜氏との同時受賞でした。

デビュー後、乾ルカはその独特な作風で注目を集めます。特に、ホラーやダークファンタジーといった、怪異や幻想の要素を巧みに織り交ぜた作品を数多く発表し、多くの読者を惹きつけてきました。しかし、特定のジャンルに留まらず、例えばスキージャンプ競技を題材とした瑞々しい青春小説『向かい風で飛べ!』のような作品も手掛けるなど、その筆致は非常に多岐にわたります。

文壇での評価も高く、2010年には『あの日にかえりたい』が第143回直木三十五賞の候補に選出され、同年に『メグル』が第13回大藪春彦賞の候補となるなど、主要な文学賞の候補リストに名を連ねています。

これまでに多数の単著を刊行しており、初期のデビュー作を含む短編集『夏光』、候補作となった『あの日にかえりたい』や『メグル』のほか、『プロメテウスの涙』、『てふてふ荘へようこそ』、『ミツハの一族』、『心音』など、幅広いテーマの作品を発表し続けています。中には『四龍海城』が『君の波が聞こえる』に、『11月のジュリエット』が『青い花は未来で眠る』に改題されて文庫化された作品もあります。

また、様々なテーマで編纂されるアンソロジーにも精力的に参加しており、ミステリーやホラー、時にはエッセイ集など、多岐にわたる作品集にその短編やエッセイが収録されています。

乾ルカの作品はメディアからも注目されており、代表作の一つである『てふてふ荘へようこそ』は、2012年にNHK BSプレミアムでテレビドラマ化され、好評を博しました。

札幌で生まれ育ち、様々な経験を経て作家となった乾ルカは、その柔軟で変化に富んだ筆致で、読者に驚きと感動を与える作品世界を広げ続けています。今後のさらなる活躍が期待される作家の一人です。

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