乾氏

乾氏の概説

乾氏（いぬいし）は、日本国内に存在する歴史的な氏族で、特に土佐藩および鳥取藩において重要な役割を果たしました。この氏族は、清和源氏や宇多源氏に由来し、異なる支流が存在することが特徴です。

土佐・乾氏

土佐には、乾氏の系統が3つ存在します。最も知られた流派は、清和源氏美濃土岐流の子孫である乾彦作和信の系統です。この一族は、土佐藩の家老職として4,500石を領していました。次に、清和源氏武田・板垣氏の支流で、乾加兵衛正信を祖とする系統があり、土佐藩の馬廻役を務めていました。この系統は1,000石を領していました。さらには、宇多源氏流の乾氏も士族として存在し、長宗我部氏と山内家に仕えていました。

それぞれの系統

清和源氏美濃土岐流

乾彦作和信の系統は、土岐頼貞の三男である道謙から始まり、土岐久右衛門重頼が美濃国の中心地に位置しました。この家系は、元々「乾氏」と名乗った土岐氏の一族であり、豊臣政権下で山内一豊に仕官しました。特に、乾氏は山内家の恵庭となり、藩政に影響を持つ役職を占めていました。残念ながら、山内家の権力の変動により乾氏は家格が下方修正されることもあり、その後の支流に対する制約が生まれたことが否めません。

清和源氏武田支流

一方で、武田支流の乾氏は甲斐源氏・板垣信方を祖とし、板垣信方の改易後、親族によって「乾氏」と名乗り、その後山内一豊に召抱えられました。この系統は歴史的な著名人である板垣退助を輩出し、さらに政治的にも影響力を持っていました。

宇多源氏支流

また、宇多源氏流の乾氏は、室町幕府に仕官していた古い家系で、阿波三好家に仕え、その後土佐に移ってきました。この系統も山内家に仕官し、大名の家来として重要な役割を果たしていました。

鳥取・乾氏

鳥取にも同名の乾氏がありますが、こちらは宇多源氏の支流で、歴史的には室町時代から存在していました。この家系は、最初は京都に居住し、後に鳥取藩に仕官して家老職を務めました。代々家老としての役割を果たし、特に乾長孝は藩政改革に貢献したことでも知られています。

家紋と系図

乾氏には様々な家紋が存在し、土佐系統の乾氏は「丸之内桔梗」を、鳥取系統の乾氏は「八重桔梗」や「丸に鱗」などを用いていました。各系統は、しばしば時代背景や家族の変遷に影響を受けながら複雑な系譜を持っています。

結論

乾氏は、多くの分流を持つ日本の歴史的な氏族であり、特に土佐藩や鳥取藩においてその影響力を発揮しました。家族の歴史や役割を通じて、日本の社会における重要な位置を占め続けていることが極めて興味深いといえるでしょう。

もう一度検索