土岐頼貞

土岐頼貞：美濃源氏の棟梁、室町幕府を支えた武将

土岐頼貞は、鎌倉時代から南北朝時代にかけて活躍した武将であり、守護大名、そして歌人としても名を残しました。清和源氏の流れをくむ美濃源氏の有力御家人である土岐光定の七男として生まれ、室町幕府の初代美濃守護となり、土岐氏の勢力拡大に大きく貢献しました。

生涯

頼貞は、大富館で生まれ、若くして鎌倉で禅宗に帰依し、特に夢窓疎石と親交を深めました。また、歌人としても才能を発揮し、勅撰[[和歌集]]や夢窓国師道歌集に多くの歌が選ばれています。鎌倉幕府の執権である北条氏と縁を結び、臨済宗を広めることにも尽力しました。特に無学祖元の高弟である高峰顕日に教えを請い、土岐郡内に臨済宗を広めました。

弘安4年(1281年)には、北条時宗の異母弟である北条宗頼の娘を後妻とし、曽祖父の土岐光衡にならって一日市場館を本拠地と定めました。土岐一族を各地に配置し、美濃国内に勢力を拡大しました。正中元年（1324年）には、後醍醐天皇の討幕計画に関与したとして幕府から疑われましたが、生き延び、その後も戦乱で活躍し、美濃守護に任じられました。

元弘元年（1331年）には北条方として笠置山の戦いなどに参戦しましたが、元弘3年（1333年）に足利尊氏が後醍醐天皇の討幕の挙兵をすると、尊氏軍に加わりました。足利尊氏が建武政権に反旗を翻すと、頼貞は尊氏に従い、遅くとも建武3年（1336年）には美濃守護に任じられました。以後200年、美濃の守護は土岐氏が継承することになります。

頼貞は、鎌倉で臨済宗に接し、蘭渓道隆や無学祖元に師事し、高弟の高峰顕日に深く帰依して土岐氏一族の宗旨としました。美濃国内に数々の寺院を開基し、文化の発展にも貢献しました。菩提寺の光善寺を臨済宗に改宗し、興禅寺とし、定林寺を開基しました。妻木八幡神社も頼貞の開基です。

土岐氏は、美濃一帯に一族の支流を配して「桔梗一揆」と呼ばれる強力な武士団を形成し、幕府軍を支える戦力となりました。頼貞は、「御一家（足利氏）の次、諸家の頭」と呼ばれ、室町幕府内で重きを置きました。嫡男の頼清に先立たれたため、婆娑羅大名で知られる勇猛な頼遠が後を継ぎました。

頼遠が長森城に土岐氏の本拠地を移すと、頼貞は一日市場館を十一男の頼明に譲り、大富館へ移り、高田にも屋敷を設けて余生を過ごしました。しかし、頼遠は光厳上皇に狼藉を働いたため、処刑されてしまいました。土岐氏の惣領は頼明を経て、孫の頼康が継ぎ、頼康の時に美濃に加えて尾張、伊勢の三ヵ国の守護を兼ねて、土岐氏は全盛期を迎えました。

死去と墓

延元4年 / 暦応2年（1339年）2月21日または23日に死去。享年69。墓は、瑞浪市土岐町の光善寺址にあります。現在も道路を挟んで、五輪塔と宝篋印塔が整然と並んでいます。一番奥に位置する宝篋印塔が頼貞の墓と伝えられており、基礎には「前伯州太守定林寺殿雲石存孝」「暦応二年 己卯 二月廿二日 亥刻 逝去」との文字が彫られています。昭和31年（1956年）3月28日に岐阜県の文化財に指定されました。

位牌は、瑞浪市の開元院と禅躰寺の両方にあります。

開基寺院

光善寺 (瑞浪市)
定林寺 (土岐市)
永保寺
龍門寺 (岐阜県七宗町)

関連事項

本土神社
明智氏

参考文献

『室町幕府守護職家事典（下）』今谷明・藤枝文忠 編　新人物往来社　1988年
『瑞浪市史　歴史編』　瑞浪市　昭和49年
* 横山, 住雄『美濃土岐氏―平安から戦国を駆け抜けた本宗家の戦い』戎光祥出版株式会社、2024年

土岐頼貞は、武将としてだけでなく、文化人としてもその足跡を残し、土岐氏の発展に大きく貢献した人物でした。

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