乾留液

乾留液とタールについて

タールは、有機物質の熱分解によって生成される黒または褐色の粘性のある油状の液体です。主に石炭のコークス製造の副産物として得られることが多いですが、石油や木材、泥炭などからも生成されます。

タールの種類

コールタール

コールタールは主に石炭または石油から得られる物質で、特にベンゼンを多く含むために有毒かつ発癌性があります。以前はガス工場の生産物の一部として広く用いられていましたが、低濃度のコールタールは外用薬として利用されることもあります。その香りには特徴的な刺激臭があります。

木タール

木タールは主に樹木から得られる物質で、北ヨーロッパでは木材を高温で加熱することにより得られます。木炭製造の過程で発生する蒸気が冷却されて水状の成分が除去された後の油状の部分が木タールです。特に松材からは精製によってテレビン油を得ることができ、フィンランドではカバノキの樹皮を使って高純度の木タールが作られています。この木タールは独特の香りを持ち、殺菌効果があります。

タールの用途

コールタールの利用

コールタールは、初の舗装道路に使用された「タールマック」の重要な材料でした。また、亜麻仁油と混ぜ合わせることでタール・ペンキが生成され、木材の保護や強化に役立てられています。このペンキは透き通った褐色が特徴で、木目を保ちながらも耐久性を向上させます。なお、未乾燥のタールに皮膚が直接触れないよう注意が必要で、乾燥したタールの汚れは取り除くのが難しいことがあります。

さらに、コールタールは乾癬の治療にも用いられ、その昔は特に効果的とされましたが、現在では他の治療法が普及しています。コールタールは、一般的な殺菌剤としても知られており、古代エジプトのミイラ製作にも使用されていた記録があります。加えて、コールタールは国連危険物リストにも登録されています。

木タールの特性と利用

フィンランドでは、木タールはかつて万能薬として認識され、「サウナやウォッカも効かないなら、その病気は致命的なもの」とする言い伝えがあるほどです。この伝統的な薬は、木タールの持つ殺菌作用に基づいています。

木タールはまた、ヴァイキングの時代には船の防水材として使用されていたことが研究から明らかになっています。現代では合成素材が帆に使われるため、木タールを必要とする機会は減りましたが、古い木製船や伝統的な板葺き屋根の屋根材の目張りや、ログハウスの外壁塗装などに今も利用されています。

木タールは水で薄めてタール・ウォーターとしても使用可能で、以下の用途があります：

• - キャンディやアルコール飲料の風味付け
• - 肉料理のスパイス
• - サウナでの香り付け
• - フケ防止のシャンプー
• - 化粧品の材料

このように、タールの種類や用途は多岐にわたり、それぞれ特有の性質を持って人々の生活に利用されています。

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