亀山一二

亀山一二：外交官から初代関市長へ

亀山一二（かめやま かずじ）は、1895年（明治28年）に岐阜県武儀郡倉知村（現在の関市）で生まれました。彼は、外交官、政治家として活躍し、関市の発展に大きく貢献した人物です。

外交官としてのキャリア

旧制順天中学、中央大学経済学部を卒業後、日本銀行、三井合名での勤務を経て、1921年（大正10年）に高等文官試験に合格し、外務省に入省しました。東京外語学校でロシア語を学び、その語学力を活かして、外務省電信課長や在ソ連日本大使館参事官などの要職を歴任しました。

特に、第二次世界大戦終戦直後には、ソ連による満州や朝鮮半島への侵攻という混乱の中、邦人保護のために現地ソ連官憲との交渉にあたりました。また、終戦後の国際情勢を見据え、暗号技術の重要性を認識し、日本が国際社会で不利にならないように、暗号研究機関の強化と人材育成を強く訴えました。

初代関市長としての貢献

戦後は、故郷である岐阜県関市の初代市長に就任し、合併問題、上下水道、道路拡張、南部開発など、数多くの事業に取り組みました。そのリーダーシップと実行力により、関市の発展に大きく貢献しました。

人物像と家族

亀山は、「正と履んで恐れず」を生活信条とし、常に清潔潔白、豪胆果断な人物として知られていました。その実直な人柄と卓越した能力は、多くの人々から尊敬を集めました。

父親は農業を営む直蔵。妻の八重子は、菊富士ホテルの経営者である羽根田幸之助の娘です。当時、菊富士ホテルはロシア人宿泊客が多く、亀山は東京外語学校でロシア語を学んでいた際に、会話練習のために頻繁に訪れていました。弟の享二は、日本火災海上保険の常務を務めました。

暗号研究への提言

亀山は、暗号研究の重要性を強く認識しており、以下の提言を行いました。

暗号研究所・機械試作工場の再建、暗号格納用金庫の試作
暗号技術員養成所の設置と、数学科などの大学生を外務省委託生とすること
* 暗号研究員の増員とその待遇改善

これらの提言は、日本の情報セキュリティ強化に貢献するものでした。

その他のエピソード

亀山は、正眼寺の僧侶であった若狭和朋の才能を見抜き、教師として再出発するきっかけを作りました。若狭はドイツ研修中に帰国を命じられ失意の中にいましたが、亀山は彼に復命書を書かせ、上京して教師になる道を示しました。

1981年（昭和56年）には、その功績を称え、胸像が建立されました。1926年（大正15年）には勲六等瑞宝章、時期不明ながら勲三等瑞宝章、1980年（昭和55年）には従四位を受章しています。

まとめ

亀山一二は、外交官、政治家として、激動の時代を生き抜きました。外交官としては、ソ連との交渉や情報収集に尽力し、戦後は暗号技術の重要性を訴えました。初代関市長としては、都市基盤整備や教育分野で大きな功績を残しました。その生涯は、常に国家と地域社会のために尽くしたものであり、現代においても私たちに多くの教訓を与えてくれます。

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