亀山城 (丹波国)

亀山城：歴史と信仰が交錯する城跡

京都府亀岡市にある亀山城は、戦国時代から現代まで、数々の歴史的出来事を経てきた城郭です。明智光秀による築城、徳川家康による近世城郭への改修、そして新宗教・大本との関わりなど、その歴史は複雑で興味深いものです。

戦国時代の亀山城：丹波制圧の拠点

織田信長の家臣であった明智光秀は、天正6年（1578年）、丹波国における勢力拡大のため、亀岡盆地の中心に位置する亀山に城を築きました。築城開始時期については諸説ありますが、天正4年（1576年）にはすでに計画があったとする説もあります。丹波の他の城とは異なり、総構えを持つ大規模な城郭であったことから、丹波制圧における重要な拠点であったことが分かります。

本能寺の変後、明智光秀が滅亡すると、亀山城は豊臣秀吉の支配下に置かれ、羽柴秀勝や豊臣秀俊など、豊臣政権の中枢を担った人物たちが城主を務めました。

江戸時代の亀山城：近世城郭への変貌

徳川家康によって天下が統一されると、亀山城は幕府によって重要視されるようになります。慶長14年（1609年）、岡部長盛が亀山藩主として入封し、幕府の指示により大規模な改修が行われました。藤堂高虎による縄張りの改修を経て、慶長15年（1610年）頃には、5重の層塔型天守を持つ壮大な城郭へと生まれ変わりました。その後、形原松平氏などが城主となり、明治維新を迎えるまで、亀山城は丹波地方における重要な拠点として機能し続けました。

天守閣については、慶長年間の改修で建てられた5重5階の大天守と2重の小天守からなる複合式天守であったとされています。しかし、その建築様式や、それ以前の天守の存在については、いくつかの異説も存在します。特に、日本初の層塔型天守とする説や、今治城天守からの移築材を使用していたとする説など、歴史的資料の不足から不明な点も多く残されています。

明治維新以降：廃城と大本との関わり

明治時代に入ると、亀山城は廃城となり、その後は民間に払い下げられました。しかし、大正8年（1919年）、新宗教「大本」の出口王仁三郎が亀山城跡地を購入し、宗教施設の建設を開始しました。大本は急速に信者数を増やし、政府の警戒を招くようになります。昭和10年（1935年）、第二次大本事件によって政府による弾圧を受け、亀山城の建物はほとんどが破壊されました。神殿はダイナマイトで爆破され、城の石材は日本海に投棄されたと言われています。

戦後、亀山城跡地の所有権は大本に戻り、現在は宗教施設として利用されています。かつての威容を偲ばせる遺構は、一部が残るのみですが、その歴史は今もなお、人々の心に深く刻まれています。城門の一部は、亀岡市立千代川小学校に移築されています。

アクセスと見学

亀山城跡へは、JR西日本嵯峨野線亀岡駅から徒歩10分ほどです。しかし、現在は宗教法人大本の敷地内にあるため、見学には事前に許可を得る必要があります。また、移築された城門を見学したい場合は、千代川駅近くの千代川小学校を訪れると良いでしょう。

まとめ

亀山城は、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康といった歴史上の人物と深く関わり、近世城郭としての発展を遂げました。しかし、大本事件という現代史における出来事によって、その多くが失われた複雑な歴史を持っています。現在では大本の聖地として、歴史と信仰が交錯する特別な場所となっています。その歴史と現状を知ることで、より深く亀山城の魅力を理解することができるでしょう。

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