落成検査

落成検査とは

落成検査（新設検査とも呼ばれる）は、新たに設置された設備が、関連する法令や規則に基づいて安全に運用できる状態であるかを監督官庁が確認する重要なプロセスです。この検査は、設備の設置工事が完了した後に行われ、合格することで初めて設備の利用が許可されます。

「落成検査」という用語は、主に電波法や労働安全衛生法などの分野で使用されますが、「竣工検査」という言葉が用いられることもあります。

落成検査の対象

落成検査は、様々な設備を対象に行われます。主なものとして、以下のものがあげられます。

無線局
電波法第10条に基づき、総務大臣が行う無線設備等の検査です。無線局の免許取得には、この検査に合格することが必須となります。無線局の落成検査については、後述の「無線局の落成検査の概要」で詳しく説明します。

特定機械
労働安全衛生法第37条に基づき、特に危険な作業を伴う機械に対して行われる検査です。同法別表第一に定められた特定機械は、設置工事完了後に落成検査を受ける必要があります。具体的には、以下のものが挙げられます。
ボイラーおよび第一種圧力容器：ボイラー及び圧力容器安全規則第14条に基づき、所轄労働基準監督署長が検査を実施します。
クレーン（移動式を除く）およびデリック：クレーン等安全規則第175条に基づき、構造や機能の検査、過負荷試験、安定性試験などが行われます。一定以上の吊り上げ能力を持つクレーンやデリックが対象です。また、1t以上のエレベーターや、ガイドレール（昇降路）が18m以上、積載荷重0.25t以上の建設用リフトも同様の検査を受けます。さらに、ゴンドラもゴンドラ安全規則に従い、所轄労働基準監督署長による使用検査が必要です。

移動式クレーン：移動式クレーンは、製造完了時に同等の検査を受け、検査済みの明細書を添付して所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

無線局の落成検査の概要

無線局の免許を申請する人は、予備免許を得た後に工事を行い、完了後に落成届を提出して落成検査を受けます。この検査に合格することで、無線局の免許が付与され（電波法第12条）、無線局免許状が交付されます（電波法第14条）。

ただし、軽微な変更については、変更後に遅滞なく届け出ることで検査が省略される場合があります（電波法第9条第1項ただし書及び第2項、電波法施行規則第10条第1項、同規則別表第1号の3）。また、適合表示無線設備のみを使用する無線局や、遭難自動通報局、特定実験試験局など、簡易な免許手続きが適用される無線局については、上記の手続きが省略されて免許が付与されます（無線局免許手続規則第15条の4から第15条の6）。

無線局は、免許が付与されるまで運用することはできません。

落成検査は、原則として総合通信局（沖縄総合通信事務所を含む）の職員が実施します。しかし、登録検査等事業者等が点検を行い、その点検実施報告書を落成届に添付して提出することで、検査の一部が省略され、書類審査のみで検査が行われる場合があります（電波法第10条第2項、電波法施行規則第41条の6）。

落成検査の手数料は、電波法関係手数料令第3条で定められています。登録検査等事業者等の点検手数料は、同令には規定されておらず、事業者が任意に定めることができます。

検査結果は、無線局検査結果通知書で通知され、合格した場合は同時に無線局免許状が交付されます。

まとめ

落成検査は、新しく設置された設備が安全に利用できる状態であることを確認するための重要な手続きです。対象となる設備の種類や、検査の手順はそれぞれ異なりますが、法令を遵守し、適切な検査を受けることが重要です。

参考情報

簡易な免許手続
アマチュア局の開局手続き
外部リンク
* 無線局の検査 無線局開局の手続き・検査（総務省電波利用ホームページ）

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