無線局免許状

無線局免許状とは

無線局免許状は、電波法に基づいて無線局の開設が許可された際に、総務大臣から交付される公的な文書です。これは、無線局が電波を利用して通信を行うための許可証であり、無線局の種別、目的、運用条件などが詳細に記載されています。無線局免許状は、無線通信の秩序を維持し、電波の有効利用を促進するために重要な役割を果たしています。

概要

電波法第4条により、原則として無線局を開設するには総務大臣の免許が必要です。ただし、一部の例外規定も存在します。免許を取得する際には、電波法および関連法令を遵守する必要があります。また、国が電波法を適用する際には、「免許」や「許可」は「承認」と読み替えられます。

総務大臣は、電波法第14条に基づく検査で違反がないと判断した場合、または、簡易な免許手続や包括免許の場合には、無線局の免許を付与し、免許状を交付します。ただし、同一人物が複数の無線局を同じ場所に設置する場合、1枚の免許状にまとめられることがあります。

同様に、登録局の登録や高周波利用設備の許可の際にも、登録状や許可状が交付されます。これらの手続きの一部は、総合通信局長に権限が委任されています。

歴史

1971年以降、無線局の免許や高周波利用設備の許可に関する権限は、郵政大臣（現総務大臣）から地方電波監理局長（現総合通信局長）へと段階的に委任されてきました。これにより、手続きの迅速化と効率化が図られてきました。

無線局免許状の詳細

手数料

無線局免許状の発行には手数料がかかります。情報通信技術利用法に基づいて電子申請を行い、Pay-easyを利用することで、手数料が減額される場合があります。

権限者

無線局免許の権限者は、原則として総務大臣です。ただし、固定局、地上一般[[放送局]]、陸上局、移動局、無線測位局、地球局、非常局、アマチュア局、簡易無線局など、多くの無線局については、総合通信局長に権限が委任されています。

交付

無線局の免許は、原則として無線局の種類ごとに設置場所を管轄する総合通信局に申請します。ただし、移動するアマチュア局など、複数の送信機をまとめて申請できる場合や、特定の条件を満たす特定無線局は、包括免許を申請することができます。

記載事項

無線局免許状には、免許の番号、免許の年月日、有効期間、識別信号、免許人の情報、種別、目的、通信の相手方、設置場所、電波の型式、周波数、空中線電力などの運用条件が記載されます。基幹放送局の場合は、放送事項や放送区域も記載されます。

有効期間

無線局免許状の有効期間は原則として5年です。ただし、一部の無線局（義務船舶局や義務航空機局など）は無期限、または、特定の期間が定められています。また、無線局の種類によって、有効期間の満了日が統一される場合があります。

様式

無線局免許状の様式は、時代とともに変化してきました。かつては縦書きでしたが、現在では横書きとなり、簡素化されています。免許状の大きさは、アマチュア局がA5判、それ以外はA4判です。

取扱い

無線局免許状は、無線局に備え付けておく必要があります。船舶局などの一部の無線局では、免許状を掲示する必要があります。近年では、免許状をスキャンして電子データとして保存し、必要に応じて表示することも認められるようになりました。

無線局免許状の原本は、免許人が適切に管理する必要があります。免許が失効した場合は、免許状を返納する必要があります。

再免許

無線局の免許を更新するには、有効期間満了前に再免許の申請を行う必要があります。申請期間は無線局の種類によって異なります。

公表

無線局免許状に記載された情報は、原則として公表されます。これにより、誰でも無線局の情報を確認することができます。

無線局登録状

無線局登録状は、特定の条件を満たす無線局に対して交付される登録証です。これは、無線局免許状と同様に、無線局の運用を許可するものです。

対象

無線局登録状の対象となるのは、電波法施行規則で規定された、他の無線局の運用を阻害しない無線設備を使用する無線局です。

手数料

無線局登録状の発行には手数料がかかります。電子申請とPay-easyの利用で減額される場合があります。

交付

無線局の登録は、原則として無線局の種類ごとに設置場所を管轄する総合通信局に申請します。包括登録も可能です。

記載事項

無線局登録状には、氏名または名称、住所、無線設備の規格、設置場所、周波数、空中線電力、登録の年月日、登録番号、有効期間などが記載されます。

有効期間

無線局登録状の有効期間は5年です。再登録も可能です。

様式

無線局登録状の様式は、免許規則で規定されています。

取扱い

登録が失効した場合は、登録状を返納する必要があります。

公表

無線局登録状に記載された情報は、原則として公表されます。

高周波利用設備許可状

高周波利用設備許可状は、特定の高周波利用設備を使用する際に必要な許可証です。

対象

高周波利用設備許可状の対象となるのは、10kHz以上の高周波電流を利用する設備で、総務大臣の型式指定または型式確認の対象外であり、50Wを超えるものです。

手数料

高周波利用設備許可状の発行には、手数料はかかりません。

種別

高周波利用設備許可状には、電力線搬送通信設備、誘導式通信設備、医療用設備、工業用加熱設備など、様々な種類があります。

交付

高周波利用設備が電波法令の技術基準に適合し、他の通信に影響を与えないと認められれば許可されます。

様式

高周波利用設備許可状の様式は、免許規則で規定されています。

取扱い

許可が失効した場合は、許可状を返納する必要があります。

海外の例

海外でも、無線局を開設するには、その国で定められた手続きに従い、免許状に相当する書類を取得する必要があります。ここでは、韓国とパラオの例を紹介します。

大韓民国

韓国では、電波管理所から免許状が交付されます。日本の免許状と記載事項は概ね同じですが、無線機の機種や製造番号、アンテナの種類、無線従事者の資格などが記載されます。有効期間は5年で、初回は4年を超え5年以下の12月31日までとなります。

パラオ共和国

パラオでは、公共基盤・工業商務省(MPIIC)が免許を発行します。パラオでは操作資格と無線局資格が一体となっており、操作資格を得ると同時に無線局資格も得られます。外国人が開設する無線局の有効期間は1年です。

まとめ

無線局免許状、無線局登録状、高周波利用設備許可状は、電波を利用する上で重要な公的文書です。これらの制度を理解し、適切に手続きを行うことが、円滑な無線通信の利用につながります。

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