予備役将校訓練課程

予備役将校訓練課程（ROTC）について

予備役将校訓練課程（ROTC）は、主にアメリカの大学に設置されたプログラムで、陸軍、海軍、空軍および海兵隊の将校を育成するための教育システムです。制定当初から続くこの制度は、学生に軍事教育を提供し、将来的に軍の職務を担う人材を育成することを目的としています。

アメリカにおけるROTCの歴史

アメリカにおいてROTCの歴史は、1868年に制定されたモリル・ランドグラント法に由来します。この法律により、特定の大学において軍事訓練のプログラムが設けられ、学生は軍事戦術などを学びました。最初のROTCが導入されたのは、1818年に設立されたノーウィッチ大学です。1960年代までは、参加が義務付けられていましたが、ベトナム戦争の影響によって強制から任意参加に変更されました。

ROTCの教育制度

ROTCは陸軍、海軍、空軍、海兵隊の各部門に対応した教育課程を設けており、それぞれの部隊に待機する学生は「カデット」（陸軍・空軍）や「ミジップマン」（海軍・海兵隊）と呼ばれます。ROTCを修了した学生は初級将校（少尉）に任官します。現在、アメリカの軍人の約40%がROTC出身であり、そのうちの56%が陸軍から、11%が海兵隊からの出身です。

プログラムの一環として、学生は一般の大学生と同様に授業を受けながら、軍事訓練を受けます。卒業後には数年間の軍務が義務付けられる一方で、在学中は基本的に召集されることはありません。しかし、非常事態においては召集が可能となっています。学費の支援や奨学金も提供されるため、参加者の競争率は非常に高いです。

ROTCの入試と訓練

ROTCに参加するための入試は、一般の大学と大きな違いはありませんが、入学後は身体鍛錬や軍事科目との両立が求められます。学生は強い肉体と精神力が必要とされ、将来的にはパイロットや看護師になることを目指す学生が多くいます。ROTCの各校は、戦闘部隊や飛行部隊での訓練を行っており、学生は自分の専門分野に応じた訓練を受けます。

上級軍事大学と軍事短期大学

アメリカには上級軍事大学と呼ばれる特定の大学があり、これらの大学からの卒業生は特権的に職種を選ぶことが可能です。上級軍事大学としては、ノーウィッチ大学、北ジョージア大学、テキサスA＆M大学、シタデル、バージニア工科大学などが含まれます。一方、軍事短期大学も存在し、ここでは早期任官制度が設けられています。卒業後、学生は少尉として任官され、さらに学位取得を目指し続けることになります。

著名なROTC出身者

この制度からは多くの著名な軍人や政治家が生まれています。例えば、コリン・パウエル元国務長官や、サム・ウォルトン、アメリカ陸軍参謀総長のマーク・ミリーなどがその例です。

他国の予備将校訓練課程

アメリカ以外でも、フィリピンや韓国などでROTCに類似した制度が存在します。韓国では1961年に学生軍事教育団が設立され、毎年数千名の初級将校を育成しています。日本では、戦前に陸軍予備士官学校が設けられましたが、現在はROTCに似た制度は存在しません。ただし、予備[[自衛官]]補としての制度が設けられています。

このように、ROTCはアメリカの大学教育の一環として重要な役割を果たし、多くの学生にとって将来のキャリアの幅を広げる機会となっています。

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