マーク・ミリー

マーク・アレクサンダー・ミリー：アメリカ軍の要、その功績と波紋

マーク・アレクサンダー・ミリー（Mark Alexander Milley、1958年6月18日 - ）は、アメリカ合衆国の陸軍軍人であり、アメリカ軍制服組のトップである統合参謀本部議長を務めた人物です。陸軍大将の階級を持ち、報道では「ミリー統合参謀本部議長」として知られています。

経歴

1958年、マサチューセッツ州ウィンチェスターで生まれたミリーは、プリンストン大学を卒業後、1980年に同大学の予備役将校訓練課程（ROTC）に参加し、アメリカ[[陸軍]]に入隊しました。その後、駐アフガニスタン国際治安支援部隊統合部隊の司令官、在韓アメリカ軍第2師団の大隊長、陸軍総軍総司令官などの要職を歴任。2015年には陸軍参謀総長に就任しました。

2019年9月30日、ジョセフ・ダンフォードの後任として統合参謀本部議長に就任。就任式には、ドナルド・トランプ大統領、日本の山崎幸二統合幕僚長、韓国の朴漢基合同参謀本部議長らが出席しました。ミリー議長は、サラフィー・ジハード主義組織ISILの指導者アブー・バクル・アル＝バグダーディーの殺害作戦や、ロシアのウクライナ侵攻に対応するなど、重要な指揮を執りました。しかし、2021年のアフガニスタンからの米軍撤退では混乱を招き、トランプ大統領との関係が悪化しました。2023年9月29日に統合参謀本部議長を退任する際には、「我々は独裁者になりたいと思う者に誓いを立てたりはしない」と述べ、トランプ大統領を批判するような発言も行っています。

政治姿勢

国内

2020年6月、ジョージ・フロイドの死をきっかけとした抗議デモで、ミリー議長は軍服姿でトランプ大統領に随行したことが批判されました。その後、国防大学の卒業生に向けた祝辞で「あの場にいるべきではなかった」と述べ、軍は国内政治に関与しないという原則を重視する必要性を強調しました。

2021年のアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件の際には、米軍統合参謀本部が全米軍兵士に向け異例の声明を発表。「憲法を守り、支持する」と明言し、議事堂襲撃を非難しました。また、トランプ大統領がクーデターを計画しているという懸念を表明し、辞任も辞さない覚悟を示唆しました。これに対し、トランプ大統領はミリー議長を批判し、「極左がアメリカを攻撃するのを傍観していた」と非難しました。

さらに、ミリー議長は、軍のカリキュラムに批判的人種理論を盛り込んでいると共和党議員から追及された際、「私は白い怒りを理解したい」と述べ、多様な視点を取り入れる重要性を強調しました。

国外

2023年9月、ミリー議長は、トランプ政権下でイラン攻撃を提言したことは一度もないと断言しました。これは、トランプ元大統領らの主張に反論するものでした。

統合参謀本部議長として

ミリー議長は、統合参謀本部議長として、日米韓の制服組トップ会談を行うなど、国際的な協力関係の構築にも尽力しました。

2019年10月1日：日米韓の制服組トップによる会談を実施
2019年11月12日：訪日し、安倍晋三首相らと会談
2019年11月13日：韓国を訪問し、日韓秘密軍事情報保護協定破棄を見直すよう説得
2023年3月17日：日本国政府より旭日大綬章を受章

トランプ政権との確執

トランプ政権末期には、ミリー議長が中国人民解放軍の参謀長と水面下で電話連絡を取っていたことが明らかになり、大きな波紋を呼びました。この件について、国防総省やバイデン政権はミリー議長を擁護しましたが、一部からは越権行為との批判も上がりました。また、ペロシ下院議長との間で、トランプ大統領の精神状態について懸念を共有していたことも明らかになっています。これらの出来事は、ミリー議長とトランプ政権との間に大きな溝があったことを示しています。

まとめ

マーク・ミリーは、アメリカ軍の要として重要な役割を果たした人物です。しかし、その行動や発言は時に議論を呼び、政治的な立場も注目されました。彼の功績と波紋は、アメリカ現代史における重要な出来事として、今後も語り継がれることでしょう。

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