コリン・パウエル

コリン・ルーサー・パウエル

コリン・ルーサー・パウエル（1937年4月5日 - 2021年10月18日）は、アメリカ合衆国の政治家および陸軍の退役大将として知られています。彼はジャマイカ系アメリカ人の背景を持ち、長い軍歴と政治キャリアを経て、特にジョージ・W・ブッシュ政権での国務長官としての役割で高名になりました。

幼少期と教育

パウエルはニューヨーク市のハーレムに生まれ、サウス・ブロンクスで育ちました。地学を専攻しながら、ニューヨーク市立大学の予備役将校訓練課程（ROTC）を受講し、1958年に大学を卒業しました。同年、アメリカ陸軍に少尉として任官し、その後ドイツと韓国を含む多くの場所で勤務しました。特にベトナム戦争において、2度の従軍と負傷を経験したことが彼のキャリアに大きな影響を与えました。

軍人としてのキャリア

1971年、パウエルはジョージ・ワシントン大学で経営学修士号（M.B.A.）を取得。その後、ニクソン政権時代に「ホワイトハウス・フェロー」に選出され、レーガン政権下では国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めました。1989年にはアメリカ陸軍総軍司令官に就任し、同年、ジョージ・H・W・ブッシュ政権の指名を受けて、アフリカ系アメリカ人として初めて統合参謀本部議長に任命され、パナマ侵攻や湾岸戦争を指揮しました。

国務長官としての業績

1993年に退役後、自伝『マイ・アメリカン・ジャーニー』を出版しました。2000年、ジョージ・W・ブッシュ政権にて国務長官に任命され、アフリカ系アメリカ人として初の地位となりました。在任中、イラクに関する証拠を国連安保理で示しましたが、後にこの立場を後悔し、自身の著書で「人生最大の汚点」と表現しています。2005年に国務長官を辞任した理由は、政権内の孤立や意見の相違とされます。

晩年と健康

オバマ大統領の誕生には感動を覚え、晩年は病気との闘いを強いられました。多発性骨髄腫やパーキンソン病と戦いながらも、彼の意見や姿勢は依然として注目されていました。最終的には2021年に新型コロナウイルス感染症の合併症で逝去しました。

政治的立場と主張

共和党員でありながら、リベラルや中道の意見にも理解を示したパウエルは、いくつかの政治的な議題について明確な立場を持っていました。人工妊娠中絶や銃規制に賛同し、軍事力の行使については国際的協力を重視していました。2008年の選挙では、ジョン・マケインに見切りをつけ、バラク・オバマに支持を表明しました。このことで、彼は共和党の中で厳しい反発に遭い、裏切り者と呼ばれることになりました。

著書と勲章

パウエルの著書には、自伝やリーダーシップについての著作が含まれています。彼は軍人として多くの勲章を受章し、政治家としても数々の栄誉を享受しました。特に、2度の大統領自由勲章や国務長官栄誉賞などはその業績の証です。さらに、彼はイギリス女王からバス勲章ナイト・コマンダーに叙されたことも特筆されます。

コリン・ルーサー・パウエルの生涯は、アメリカの歴史において非常に重要な位置を占めており、彼の功績や影響は今後も語り継がれることでしょう。

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