予定価格

予定価格についての概要

予定価格（よていかかく）は、国および地方公共団体が契約を結ぶ際に、契約担当官が競争入札や随意契約において使用する金額の基準です。これは、具体的な契約金額を事前に設定し、それに基づいて入札が行われることで、公正な競争が確保されることを目的としています。予定価格は、発注者が競争入札を行う際の落札金額を決めるための重要な基準となり、随意契約の場合でも用意されます。

法令に基づく規定

予定価格についての規定は、主に『予算決算及び会計令』に基づいています。基本的には契約の総額が設定されることが原則ですが、例外として単価が設定されることもあります。価格の設定には、過去の取引実績や需給の状況、履行の難易度、数量、履行期間などが考慮されています。特に公共工事については、その設計書の金額を元に予定価格が決定されます。

予定価格は入札参加者にとって、どのような金額で入札を行うのが適切かを示す基準であるため、職人賃金や資材価格の変動がある中で、競争を促す役割があります。また、一部の契約（例：定期刊行物の購入など）では、単価設定が許可されています。

予定価格の上限拘束性

日本の競争入札制度では、落札額が予定価格を超えることはできません。これを「予定価格の上限拘束性」と呼びます。この原則は、日本の入札制度の特異な点であり、他の先進国には見られない特徴でもあります。入札が予定価格を上回る場合、他の予算からの流用など新たな調整方法が必要になります。

予定価格の主な役割

予定価格は、次のような役割を持ちます。企業が入札を行う際の基準を提供することで、対象業者の格付けにも使われ、落札を決定する際の判断材料となります。従って、契約金額の適切な決定と契約の透明性向上に寄与しています。

予定価格の算定方法

予定価格の算定にはいくつかの方法があります。主に市場価格方式や原価計算方式が用いられ、具体的には過去の実績に基づく価格調査を行います。積算には、価格資料や見積もりに基づく厳密な調査が必要で、通常、これらの値が予定価格として設定されます。以前は価格の端数処理に際して不適切な歩切りが行われることもありましたが、近年の法改正により、その禁止が明確化されました。

予定価格の保秘と公表

予定価格は入札が行われるまで厳重に保管され、漏洩を防ぐことが求められます。これは、公正な入札を促すための重要な措置です。しかし、最近では透明性向上の観点から事前公表が行われるケースも増えていますが、これには談合のリスクを指摘する声もあります。

問題点

公共事業における入札価格の高止まりが批判を受けることがあり、この場合、落札率が注目されます。高い落札率が自由競争が行われていないことを示すとの意見もありますが、予定価格は市場調査を基にしているため、必ずしも不適合な指標とは限りません。また、工事の複雑化が進む中で、適正な予定価格の算出に困難を伴うことも指摘されています。特に行政において設計力が不足しているため、合理的な判断が難しい状況が続いています。さらに、入札制度や競争性向上を図るため、行政と業者の間での調整が求められる時代になっています。そのため、今後の公共契約における予定価格の取り扱いは引き続き重要な課題となるでしょう。

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