予算空白

予算空白

予算空白（よさんくうはく）とは、本予算案または暫定予算案が国会で承認されないまま、予算の執行予定日を迎えてしまう事態を指します。これは、予算支出の法的根拠がない状態での予算執行となるため、様々な問題を引き起こす可能性があります。

日本における予算と予算空白

日本の会計年度は、財政法第11条により毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わります。内閣は、翌年度の本予算案を作成し、3月31日までに国会の承認を得て成立させるのが基本です。

しかし、本予算案の成立が見込めない場合、財政法第30条に基づき、一定期間を対象とした暫定予算案を作成・提出し、国会の承認を得ることで、当面の財政運営を可能にします。

現行法では、当初予算または暫定予算が成立しないまま予算の執行日を迎える事態は想定されていません。日本国憲法下では、2022年4月時点で最大7日間、過去に17回の予算空白が発生しています。この間、恩給費、生活保護費、司法修習生への手当など、特定期日に支給すべき経費の遅延や後払いが発生しました。

大日本帝国憲法下では、憲法第71条に「本予算が年度開始前までに成立しなかった場合、前年度の予算を新年度予算として執行する」という規定があり、予算空白は起こり得ませんでした。

日本国憲法下での予算空白の実例

（具体的な事例は、必要に応じて情報を追加してください）

日本以外の事例

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、予算決議案（当初予算または暫定予算）が成立しない場合、一時的な措置による予算で政府が運営されます。しかし、この資金が枯渇すると、政府機関の一部閉鎖（政府閉鎖）や、米国債の債務不履行といった事態が発生する可能性があります。

プロイセン

プロイセンでは、オットー・フォン・ビスマルク首相が軍制改革の予算案を議会で否決された際、「憲法に予算案が両院で合意に至らない場合の規定がないため、国家運営を停止させるわけにはいかない」として、国王の信任に基づき無予算統治を正当化しました。ビスマルクは空隙説を唱え、1862年から1866年までの4年間、議会の承認なしに予算を執行しました。その後、1866年にビスマルクは議会に事後承認を求め、無予算統治の不可避性を主張することで議会と妥協しました。

まとめ

予算空白は、国の財政運営に深刻な影響を与える可能性があります。予算案の円滑な審議と成立は、国民生活の安定と国の信頼を維持するために不可欠です。

参考文献

大石眞『議会法』有斐閣、2001年
内閣法制局 情報公開資料『憲法関係答弁例集(3)』信山社、2018年

関連項目

予算
本予算（当初予算）
暫定予算
政府閉鎖

外部リンク

予算の成立時期に関わる諸問題 - 参議院
「予算の空白」に関する質問主意：参議院 - 第96回国会
「予算の空白」と参議院の審議権に関する質問：参議院 - 第102回国会
「連年にわたる予算の空白」に関する質問：参議院 - 第104回国会
* 「予算の空白」に関する質問：参議院 - 第114回国会

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