事件 (テレビ朝日のテレビドラマ)

事件

テレビドラマシリーズ『事件』は、1993年から2017年にかけてテレビ朝日系列で放送された作品です。名優・北大路欣也が主演を務め、多種多様な事件とその裁判を通して、登場人物たちの内面や社会の現実を描き出しました。

シリーズ概要

本シリーズは、法廷を主な舞台としたリーガルドラマです。第1作は、大岡昇平の同名小説を原作としていますが、第2作以降は小杉健治の小説を原作とした2作品を除き、多くがオリジナルのストーリーで制作されました。これにより、時代背景や社会問題に即した幅広いテーマを取り扱うことが可能となり、長期シリーズとしての魅力を保ちました。

放送は主に『土曜ワイド劇場』の枠で行われましたが、シリーズ後期には『土曜プライム・土曜ワイド劇場』や『ミステリースペシャル』といった特別企画枠での放送となりました。全18作が制作され、特に第18作は俳優・加藤剛のテレビドラマにおける最後の出演作品となりました。

登場人物

主人公は、北大路欣也が演じる弁護士です。シリーズ初期には菊池大三郎（第1作）、河北雄一（第2作）、寺沢廉（第3作）と役名が変わりましたが、第4作からは伊丹秀一として定着し、彼の所属する伊丹法律事務所を中心に物語が展開します。

伊丹法律事務所には、後に弁護士となる娘の伊丹織枝（松本莉緒）、司法修習生から弁護士へと成長する加瀬直人（山下徹大）、そして事務を支える本多和美（山下容莉枝）など、個性豊かな面々が集まり、伊丹弁護士をサポートします。彼らは単なる脇役にとどまらず、それぞれが抱える問題や成長がシリーズに深みを与えています。

各作品の特色

シリーズでは、殺人事件を中心に、家庭内暴力、無理心中、老人介護を巡る悲劇、医療ミス、誘拐、復讐、不倫など、様々な背景を持つ事件が描かれました。

第1作（1993年）: 大岡昇平原作。新妻の姉殺害容疑で逮捕された夫を弁護。法廷での愛憎劇を描く。
第2作（1994年）: 西船橋駅ホーム転落死事件をモデルとした作品。ホームでのトラブルを発端とする転落死事件の真相を追う。
第4作（1996年）: 生命維持装置を切った女性の裁判を描き、第34回ギャラクシー賞奨励賞を受賞するなど、高い評価を得ました。
第6作（1998年）: 家庭内暴力に苦しむ妻が夫を殺害した事件。声なき叫びと衝撃の告白が法廷で明かされる。
第9作（2001年）: 赤ちゃん誘拐致死事件。被告人の女性の動機や背景に迫る。
第15作（2012年）: 娘を殺された家族による復讐計画。出所した加害者への裁きを巡る葛藤を描く。
第18作（2017年）: 毒婦と呼ばれた女性が再び殺人容疑で裁かれる。過去の事件との関連性や、加藤剛演じる先輩弁護士との関わりが描かれた最終作。

これらの作品では、被告人や被害者、証人として、渡辺梓、長谷川初範、斉藤隆治、奈美悦子、新藤恵美、沢田亜矢子、荻野目慶子、原田美枝子、高橋一生、松下由樹、酒井和歌子、洞口依子、市毛良枝、須藤理彩、内藤剛志、中田喜子、あおい輝彦、尾美としのり、清水美沙、杉本哲太、滝藤賢一、雛形あきこ、かたせ梨乃、筒井真理子、高橋ひとみなど、多数の実力派俳優がゲスト出演し、物語に深みを与えました。

スタッフ

シリーズの脚本は安部徹郎が初期を担当し、その後は田子明弘が手掛けました。監督は五木田亮一が長らく務め、後期は池添博が引き継ぎました。音楽や技術・美術協力なども含め、多くのスタッフがシリーズの質を支えました。

『事件』シリーズは、単なる刑事ドラマとは異なり、事件に至るまでの人間の心理や背景、そして法廷という場で繰り広げられる真実の追求と葛藤を深く掘り下げた、見応えのある法廷ドラマとして多くの視聴者に親しまれました。

関連事項

事件 (小説)：大岡昇平による原作小説。第1作の元となり、映画化やNHKでのドラマ化も行われています。
* 西船橋駅ホーム転落死事件：第2作の題材となった実際の事件です。

シリーズは終了しましたが、現在でも一部作品は動画配信サービスなどで視聴することが可能です。

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