二スケ二ゾウ

二スケ二ゾウ：銀幕を彩った四人の剣戟スター

東千代之介、中村錦之助、市川雷蔵、大川橋蔵。これらの名前を聞けば、多くの映画ファンは昭和の銀幕を彩った、華麗なる剣戟スターたちを思い起こすだろう。彼らはほぼ同時期に歌舞伎の世界から映画界へと転身し、その端麗な容姿と卓越した剣さばきで、多くの観客を魅了した。

彼らは「二スケ二ゾウ」と呼ばれ、その人気は時代を反映するものでもあった。高度経済成長期の日本において、人々は娯楽を求め、彼らの活躍する時代劇映画は、人々に夢と希望を与えたのである。

では、それぞれのスターの軌跡をたどってみよう。

東千代之介

東千代之介は、長唄方六代目杵屋弥三郎を父に持ち、七代目坂東三津五郎に師事した、歌舞伎の素養をしっかりと身につけた俳優であった。1954年、東映に入社し、『雪之丞変化』三部作で映画デビュー。端正な顔立ちと気品漂う立ち居振る舞いで、たちまち人気を獲得した。その後の活躍は、時代劇映画史に燦然と輝くものがある。

中村錦之助

三代目中村時蔵の四男として生まれた中村錦之助は、1954年、新芸術プロの『ひよどり草紙』で映画デビュー。その後、新東宝を経て東映に入社。『新諸国物語 笛吹童子』での活躍で、一躍スターの座に上り詰めた。その端麗な容姿と、華麗なアクションは、多くの女性の心を掴んだ。

市川雷蔵

市川雷蔵は、複雑な出自を持つ。三代目市川壽海の養子となり、実父は九團次の義弟という背景を持つ。1954年、大映に入社し、『花の白虎隊』で映画デビュー。端正な顔立ちと、どこか影のある魅力で、多くのファンを虜にした。数々の時代劇映画で主演を務め、その演技力は高く評価された。

大川橋蔵

大川橋蔵は、六代目尾上菊五郎の妻・寺島千代の養子という華麗な出自を持つ。幼少期は二代目市川瀧之丞の養子として過ごした。実母は柳橋の芸妓であった。1955年、東映に入社、『笛吹若武者』で映画デビュー。その端正な顔立ちと、爽やかな笑顔で、多くのファンを魅了し、時代劇スターとしての地位を確立した。

二スケ二ゾウの時代

この四人は、ほぼ同時期に映画界で活躍し、その競演は多くの観客を熱狂させた。それぞれの個性と魅力が際立ち、時代劇映画黄金期を象徴する存在となった。彼らは、現代においても、その名を語り継がれる、不滅のスターなのである。

関連事項

「弐キ参スケ」という呼び名も存在し、時代劇映画における彼らの圧倒的な人気と影響力を示している。彼らの活躍は、後の時代劇映画にも大きな影響を与え、多くの俳優たちに刺激と目標を与えたことは間違いないだろう。

もう一度検索