二井將光

二井將光のプロフィール

二井將光（ふたいまさみつ、1940年5月13日生まれ）は、日本の生化学者および分子生物学者であり、薬学博士の学位を持っています。彼は大阪大学の名誉教授であり、その研究の多くは植物の光合成やエネルギー変換に関するものです。東京都中野区に生まれ、長いキャリアを通じて日本の生物学の発展に寄与してきました。

学歴と職歴

1964年、二井は東京大学の薬学部製薬化学科を卒業し、その後1969年には大学院の薬学系研究科を修了し、薬学博士の資格を取得しました。彼のキャリアは、東京大学薬学部の微生物薬品化学教室に助手として始まり、続いてウィスコンシン大学McArdleガン研究所で研究員としての経験を積みました。その後、コーネル大学で博士研究員として働くなど、国際的な研究環境でも活躍しました。

1977年には岡山大学の薬学部へ教授として就任し、1985年には大阪大学産業科学研究所にて生合成化学部門の教授に就任します。1995年には生体応答科学部門の教授に移り、2001年からは産業科学研究所の所長としても責任を担いました。その後、2004年に定年退官となり、名誉教授の称号を受けました。

退職後も、二井は微生物化学研究センターで特別研究員として活動し、さらに岩手医科大学で教授および薬学部長として多くの学生の指導にあたりました。

研究内容

二井の研究は主に植物がどのように光エネルギーを吸収し、二酸化炭素と水から糖と酸素を生成する過程に関するものです。このエネルギー転換は、生物がエネルギーの通貨と呼ばれるATP（アデノシン三リン酸）を合成するメカニズムに密接に関連しています。彼の研究は、ATPの加水分解時に放出されるエネルギーによるイオン（水素イオン）の輸送や、ATPが形成する細胞内小器官の内部の酸性環境の機能についても深く掘り下げられています。

分子生物学や生化学の手法を駆使して、彼は生物の複雑なタンパク質機構の解明を進め、これまでの研究では想像もつかなかった新しい知見をもたらしました。特に、イオン輸送がどのようにオルガネラ内の環境を形成するのかというメカニズムの研究にも貢献しています。

受賞歴

二井はその研究成果により、多くの賞を受けており、特に1977年にアメリカ癌協会の国際癌研究フェellowship Award（UICC）の受賞が知られています。また、1994年の持田記念学術賞、2003年の日本薬学会賞、2012年の日本学士院賞など、数々の栄誉が彼に与えられました。2014年には瑞宝中綬章も受勲し、その研究と教育における貢献が高く評価されています。

著書と学会活動

二井は多くの英語の研究論文を発表しており、著書も多岐にわたります。特に、ATPに関する専門書『Handbook of ATPase: Biochemistry, Cell Biology, Pathophysiology』や、生物エネルギーについての考察をまとめた書籍が多数出版されています。彼はまた、日本生化学会の理事や会頭、日本薬学会の名誉会員として学術活動にも積極的に関与しました。さらに、アメリカ化学会や国際生化学・分子生物学連合などの国際的な学会にも参加し、その活動が広がっています。

二井將光の技術と知識は、生化学や分子生物学の分野において新しい地平を開くものであり、彼の研究は今後も多くの人々に影響を与えていくことでしょう。

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