二井山駅

二井山駅（にいやまえき）

二井山駅は、かつて秋田県平鹿郡雄物川町二井山（現・横手市雄物川町二井山）に存在した、羽後交通横荘線の鉄道駅です。開業時は旧・平鹿郡沼館町に位置していました。地方交通を担った横荘線の一部区間廃止に伴い、1966年（昭和41年）6月15日に廃駅となりました。

歴史

この駅の歴史は、1928年（昭和3年）11月1日に横荘鉄道の羽後大森駅と当駅を結ぶ区間が延伸開業した際に始まります。当初から旅客および貨物を取り扱う一般駅として運営されました。

1944年（昭和19年）6月1日には、鉄道会社の名称が羽後鉄道に改称され、同時に路線名が横荘線と制定されたため、当駅も羽後鉄道横荘線の駅となります。

戦後間もない1946年（昭和21年）夏には、国鉄から借り受けた蒸気機関車C12 229号機が牽引する試運転列車が、隣の浮蓋駅を発車後に速度超過で暴走するという出来事がありました。この列車は二井山駅を対向列車到着直後に高速で通過しました。

1947年（昭和22年）7月23日、集中豪雨によって路盤や橋脚が損壊し、横荘線は全区間で運休を余儀なくされ、二井山駅も一時的に営業を休止しました。翌1948年（昭和23年）11月8日には、運休していた舘合駅と老方駅の間が復旧し、これに伴い二井山駅も営業を再開しました。

しかし、1949年（昭和24年）12月22日には当駅から老方駅までの区間が営業休止となり、二井山駅はこの期間、一時的な終着駅となります。その後、1952年（昭和27年）2月15日には鉄道会社の名称が羽後交通へと再度改称され、羽後交通横荘線の駅となりました。そして、1953年（昭和28年）8月5日に当駅から老方駅までの区間が正式に部分廃線となり、二井山駅は終着駅としての機能を担うことになりました。

廃止に至る直前の1965年（昭和40年）7月9日には、水害により雄物川橋梁の橋脚が洗掘された影響で、舘合駅と当駅の間が運休し、二井山駅も営業を休止しました。同年10月21日には、この舘合駅 - 二井山駅間が正式に営業休止となり、休止駅となります。そして最終的に、1966年（昭和41年）6月15日にこの区間が部分廃線となったことで、二井山駅はその歴史に幕を閉じました。

駅構造

廃止時点の二井山駅は、地上駅として島式ホームを1面2線備えていました。当駅から老方駅方面への区間が部分廃線となる以前は、列車交換が可能な設備を持つ交換駅でした。駅の構内には、本線から分岐して駅舎の北側で行き止まりとなる側線が1線設けられていました。

当駅には駅員が配置されていました。駅舎は構内の西側に位置し、ホームへは駅舎の南側にある構内踏切を渡って連絡していました。列車交換の際に使用された通票は、羽後大森駅との間では「□」の形状でした。

駅周辺と駅跡

二井山駅の跡地は、現在の秋田県道164号二井山大森線の脇に位置しています。駅跡には、2001年（平成13年）7月に当時の雄物川町によって建てられた記念碑が現存しており、そこには「横荘線 二井山駅跡」の文字と沿革が記されています。この記念碑は2007年（平成19年）5月時点でも確認されています。また、駅名を冠した羽後交通のバス停が駅跡の近くに設けられています。

当駅跡の周辺から老方の集落入口付近にかけての線路跡は、県道として再利用されています。1996年（平成8年）時点では、当時の築堤や切通しがほぼ元の形をとどめていました。これは1999年（平成11年）時点でも同様でした。2007年（平成19年）5月時点では、この県道化された部分は秋田県道48号横手東由利線となっており、まるで線路の道床の上にそのまま舗装を施したかのような形状でした。一方、県道として転用されなかった区間は、2007年（平成19年）5月や2010年（平成22年）時点において、雑草が生い茂る切通しや未舗装の細道として、かつての鉄道の痕跡が残されていました。

なお、当駅と老方駅の間にはかつて五つのトンネルが存在しました。中でも当駅に最も近い「二井山トンネル」は全長が1,901メートルと長く、1996年（平成8年）時点では崩落の危険があるため通行禁止となっていましたが、坑口自体は木々に覆われつつも確認できました。この状況は1999年（平成11年）および2010年（平成22年）10月時点でも同様でした。しかし、この二井山トンネルは2003年（平成15年）春に老方側の坑口から約2メートルの地点で崩壊し、完全に閉塞しています。

隣の駅

羽後交通 横荘線（廃止時）

八沢木駅 - 二井山駅 - 浮蓋駅

この記述は、二井山駅に関する公開情報に基づいています。駅に関する詳細な歴史や構造、廃線跡の現況については、関連資料や現地調査によってさらに深掘りすることが可能です。

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