二宮周平

はじめに

二宮周平（にのみや しゅうへい、1951年5月27日生まれ）は、日本の著名な法学者です。専門は民法であり、特に家族法分野で広く知られています。法学博士の学位を持ち、立命館大学法学部名誉教授を務めています。

経歴

神奈川県横浜市に生まれ、少年期を愛媛県松山市で過ごしました。愛媛県立松山東高等学校を卒業後、大阪大学大学院法学研究科で法律学を深く学びました。研究者としてのキャリアは松山商科大学（現：松山大学）で始まり、専任講師、助教授として教鞭を執った後、1985年に立命館大学法学部へ移りました。立命館大学では、2009年4月から2012年3月まで法学部長および学校法人立命館常任理事を務めたほか、2015年4月から2017年3月には立命館大学図書館長も兼任しました。2017年3月31日に立命館大学を定年退職し、現在は名誉教授の称号を得ています。

学外活動としては、ジェンダー法学会において2011年12月5日から2014年12月まで第5期理事長を務め、ジェンダーと法に関する研究・啓発活動を牽引しました。また、2021年にはジェンダー法政策研究所の理事に就任し、現在も活動を続けています。

研究と思想

二宮教授の研究は、民法の中でも特に家族法に焦点を当てています。社会の変遷に伴い多様化する家族のあり方と、それが法制度にどう反映されるべきかを探求しています。

個人の尊重と多様性の受容を基盤とするその思想は、現代社会における家族法分野の重要な議論において明確な姿勢を示しています。

例えば、選択的夫婦別姓制度については、氏名を個人の人格の象徴と捉え、氏名権を人格権の一部と考えます。結婚によって一方の意思に反して氏名変更を強いられる現状は許容されないとし、現代において家族形態が多様化している現状を踏まえ、個人一人ひとりを大切にする社会システムが求められていると主張しています。

同性婚を巡る訴訟では、「結婚の自由をすべての人に」訴訟などにおいて原告側の主張を支持する立場の意見書を裁判所に提出するなど、法の下の平等や婚姻の自由の観点から、同性カップルにも結婚が認められるべきだとの考えを示しています。

さらに、婚外子差別問題に関しては、かつての相続差別が不倫の言い訳に使われることもあったとし、差別の解消こそが望ましい社会につながると述べています。

主な著作

二宮教授は、家族法、ジェンダー、人権などに関する多数の著作を刊行しています。学術書から一般書まで幅広く、社会における家族と法のあり方について多角的な視点を提供しています。

『事実婚の現代的課題』（日本評論社、1990年）
『家族をめぐる法の常識』（講談社現代新書、1996年）
『家族法』（新世社、1999年／第5版、2019年）
『家族と法 個人化と多様化の中で』（岩波新書、2007年）
『18歳から考える家族と法』（法律文化社、2018年）
『離婚判例ガイド』共著（有斐閣、第3版、2015年）
『21世紀親子法へ』共著（有斐閣、1996年）
『性のあり方の多様性 一人ひとりのセクシュアリティが大切にされる社会を目指して』編集（日本評論社、2017年）
『現代家族法講座』全5巻 編集代表（日本評論社、2020年-2021年）
『家族の変容と法制度の再構築』共編著（法律文化社、2022年）

これらの著作や活動を通じて、二宮教授は、変化する社会における家族の多様性を理解し、個人が尊重される法制度の実現に向けた議論をリードしています。

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