二宮神社 (あきる野市)

二宮神社（にのみやじんじゃ）

東京都あきる野市に位置する二宮神社は、武蔵国二宮として知られ、地元では「小河神社（おがわじんじゃ）」とも呼ばれています。その歴史は古く、『和名抄』にも記された小川郷の鎮守として、古くは「小河大明神」または「二宮大明神」と称されていました。

祭神

御祭神は国常立尊（くにとこたちのみこと）です。

歴史

創立年代は不明ですが、武蔵国多摩郡小川郷の鎮守として古くから存在していたと考えられています。武蔵国の二宮とされ、『神道集』や『私案抄』に記された「武州六大明神」の一角を担っていました。六社の中で唯一式内社ではありませんが、現在も武蔵国総社である大國魂神社に祀られています。

古記録によれば、藤原秀郷が当社を崇敬し、天慶の乱の際には戦勝祈願を行い、そのお礼として社殿や玉垣を造営したとされています。また、源頼朝や北条氏政も当社を篤く崇敬し、特に北条氏照は滝山城主として祈願所としました。その後、神殿などは火災により焼失し、多くの記録も失われました。

鎌倉時代には、この地付近に大石氏中興の祖とされる信重が城館を構え、五代にわたって居城としたという記録もあります。昭和47年（1972年）には、二宮城の所在を探るため境内で発掘調査が行われましたが、関連資料は発見されませんでした。しかし、この調査では寺院に関係する金銅製薬師如来像や中世の瓦が発見され、新たな謎を呼んでいます。特に薬師如来像は、小河大明神の御正体と推測されています。

天正19年（1591年）には、徳川家康から朱印15石を受け、以後、代々継承されました。現在の本殿は江戸時代に建立されたものです。明治3年（1870年-1871年）に現在の社名である二宮神社に改称されました。

本殿

本殿は三間社流造で、江戸時代に造営されたものです。内部には室町時代に造営された宮殿（あきる野市指定文化財）が納められています。

二宮神社お池

参道石段を下り、道路を渡った先には「お池」と呼ばれる湧水池があります。豊富な湧水量で知られるこの池からは、「千人清水」と名付けられた小川が勢いよく流れ出しています。この湧水は、あきる野市の八雲神社の湧水とともに、「東京の名湧水57選」に選ばれています。池の中には、1990年（平成2年）に制作された菅野遊邦作の「雨乞いの男」の像があります。これは、昔この場所で雨乞いが行われていたという言い伝えに基づいています。

摂末社

境内には以下の末社があります。

伊勢神社
八幡神社
八雲神社
天神社
稲荷神社（2社）
荒波々伎神社
諏訪神社
社宮社

祭事

年間祭事

月次祭：毎月1日、15日
例大祭：9月8日（宵宮）、9月9日（本祭）。通称「しょうが祭」と呼ばれ、神饌として生姜が奉納されます。祭礼当日には参道に生姜を売る店が並び、多くの参拝客で賑わいます。神輿の渡御、地元有志による子供歌舞伎、芸能の夕べも催され、夜には境内で神輿を担ぎ、東京で唯一の農村歌舞伎である秋川歌舞伎（東京都指定無形民俗文化財）が上演されます。

その他

大國魂神社の例大祭「くらやみ祭」（5月）にも参加しています。

文化財

東京都指定旧跡
二宮神社並びに城跡：1926年（大正15年）5月標識、1955年（昭和30年）3月28日指定
あきる野市指定文化財
本殿（建造物）：2006年（平成18年）12月25日指定
宮殿（建造物）：2006年（平成18年）12月25日指定
二宮神社のフジ（天然記念物）：1975年（昭和50年）11月3日指定
二宮神社のヤナギ（天然記念物）：1975年（昭和50年）11月3日指定

現地情報

所在地：東京都あきる野市二宮2252
付属施設：二宮考古館（あきる野市の郷土資料施設。市内の発掘調査で出土した土器や石器を中心に約150点の考古遺物を展示。入場無料）
交通アクセス：JR五日市線東秋留駅より徒歩約5分
駐車場：なし

参考資料

『日本歴史地名体系 東京都の地名』（平凡社）あきる野市 二宮神社
境内掲示板
東京都神社庁 二宮神社【みょうじんさま】
「新編武蔵[[風土記稿]]」

関連項目

大國魂神社
* 秋川歌舞伎

もう一度検索