二幸

株式会社二幸の歴史と事業展開

株式会社二幸（にこう）は、食品加工と卸売を行っていた企業で、三越グループに属していました。その歴史は1927年にさかのぼります。日本橋品川町に「株式会社二幸商会」として設立され、社名は古事記に登場する山幸彦と海幸彦の物語から取られています。

初期の目論見書には、チェーンストアや調理販売、仕入れに関する計画が示されており、セントラルキッチンや産地直送販売などが盛り込まれていました。同年11月には、品川町に調理場を開設し、三越本店の大食堂の営業がスタートしました。1928年には蒲田工場を設立し、アイスクリームや佃煮、飲料水の製造を始めました。

工場の発展

二幸は1931年からクリーニング業にも進出し、多様な製品を製造しました。西宮工場では大阪と神戸の三越にアイスクリームを供給しました。また、木挽町の調理場では和・洋・中華料理の製造や、コーヒー豆の焙煎を行い、市場のニーズに応えていきました。

関東大震災後、新宿追分に開設されたマーケットは、後に三越新宿分店に進化し、1931年には社名を「株式会社二幸」へ変更しました。1937年には茨城県に工場を開設し、戦時中には自給自足を目指して牧場を買収しました。第二次世界大戦中、企業統合が進む中で、1945年には東京大空襲により蒲田工場が大部分を失いました。

戦後の発展

戦後、二幸は新たな製品開発に着手しました。1952年に洋食缶詰「関東印カレーライスの素」を販売し、1956年からは南極地域観測隊の食料調達を任されるなど、事業を多角化していきました。1958年には新宿店を改築し、より多くの顧客に対応できる体制を整えました。

1972年には関東缶詰を吸収合併し、国際食品開発株式会社を設立します。その後、1982年には再度社名を株式会社二幸に戻しました。1978年には新宿本店が閉店し、その後新宿アルタが開業しました。1991年には「豊海二幸ビル」を竣工し、コーポレートアイデンティティを確立しました。

統合と現在

2003年には株式会社二幸と関連会社を統合し、親会社の三越が2011年に伊勢丹と経営統合を果たし、二幸を存続会社として新しい形の株式会社三越伊勢丹フードサービスが誕生しました。様々な変遷を経て、2018年には株式会社エムアイフードスタイルに事業が引き継がれています。

二幸ブランドと商品

二幸の「シベール」ブランドは、1976年から続くロングセラーのブランデーケーキをはじめ、様々な食品を展開しています。「Santa印」のビーフカレー缶詰は、テレビ番組で紹介されるなど高い評価を得ました。また、2020年には「新宿二幸 大食堂の味」シリーズのパスタソースが発売され、ブランド継承が進んでいます。

工場の現状

かつての主要工場には、銀座工場や仙台工場がありましたが、現在はエムアイフードスタイルが総和工場や船橋加工センターといった新たな拠点で事業を展開しています。

二幸の歴史は、創業から90年以上にわたる食品業界の重要なストーリーです。この企業の歴史的意義は、今でも多くの人々に影響を与えています。

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