二式複座戦闘機

二式複座戦闘機（屠龍）

二式複座戦闘機は、第二次世界大戦中に日本陸軍で運用された双発の戦闘機です。計画名は「キ45改」で、愛称して「屠龍」と呼ばれました。実戦において多彩な役割を果たし、連合軍のコードネームは「Nick」です。この機体の開発は川崎航空機が担っており、その背景には欧米における双発機の進展がありました。

開発の経緯

1930年代、航空先進国では双発機の開発が進み、単発機よりも航続距離や搭載力に優れることから注目されていました。こうした環境を受け、日本陸軍も双発複座戦闘機の開発を進めることになります。1937年に川崎造船所に対して、双発複座機の研究開発が指示され、その中で焦点が当たったのが「キ45」でした。

最初の試作機であるキ45は、性能が規定に達していなかったために不採用となりましたが、陸軍の強い要望によりさらなる開発が続行されました。その後、改良が重ねられ、最終的に1942年に制式採用された二式複座戦闘機が誕生しました。

愛称の由来

屠龍という愛称は、フィリピンでの作戦における戦果を称えられたことに由来しています。特に1944年に所感として発給された陸軍省の感状がきっかけとなり、屠龍と命名されました。

試作機や生産機にはさまざまなバリエーションがあり、甲型、乙型、丙型などが登場しました。それぞれ異なる武装や特性を持つこの機体は、戦闘から爆撃、偵察まで様々な任務に対応可能でした。

運用と戦果

当初、二式複座戦闘機は爆撃機の護衛としての運用が主でしたが、実際の戦闘ではアメリカのP-40などとの交戦で敗北を喫することが多いこともあり、その評判は芳しくありませんでした。運動性能や速度において、単発機と比べて劣る点が目立ち、特に高速度戦においては苦戦を強いられました。

一方で、対地攻撃や対艦攻撃に用いられるようになり、その評判が改善する局面もありました。特に日本本土防空戦ではB-29の迎撃任務に多くの部隊が配属され、一定の戦果を挙げるなど、その運用が見直されることもありました。

終戦までの運命

1945年には、B-29迎撃に従事するも、その性能の限界から特攻隊が編成されるなど、戦術的にも大きく変化しました。アメリカ軍の夜間爆撃戦術には適応しきれず、さらには新たに登場する艦載機の脅威に直面することとなりました。その後の戦闘では、本機の運用は難しくなり、最終的には戦局の悪化とともにその姿を消していきました。

現存する機体

現在、二式複座戦闘機の現存機としては、アメリカのスミソニアン航空宇宙博物館に保存されている胴体部分があります。また、日本国内でも部品が展示されており、戦争博物館にてその歴史を伝えています。

諸元

• - 乗員：2名（操縦士、銃手）
• - 全長：11.00m
• - 全幅：15.07m
• - 最大速度：547 km/h
• - 航続距離：1,500 km
• - 武装：7.7mm機関銃1挺、12.7mm機関銃2挺、20mm機関砲2門

このように、二式複座戦闘機はその多機能性から戦況に応じた多様な任務を遂行し、歴史上重要な役割を果たした機体として、今もなお多くの人々に記憶されています。

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