二本松義綱

二本松義綱：戦国を駆け抜けた悲運の若武者

二本松義綱（にほんまつ よしつな、または畠山 義綱）は、安土桃山時代に生きた武将であり、二本松氏の第10代当主として知られています。陸奥国安達郡の二本松城を拠点とし、激動の時代を駆け抜けました。

生涯

天正2年（1574年）、二本松氏第9代当主・二本松義継の嫡男として誕生。幼名は国王丸と名付けられました。

天正13年（1585年）10月8日、父・義継が伊達輝宗を拉致しようとした際、伊達政宗によって討たれるという事件が発生。これにより、義綱はわずか12歳にして二本松氏の家督を継承することになります。

当主就任直後から、伊達政宗による二本松城への猛攻が開始されます。一門の新城信常が籠城戦の指揮を執り、二本松勢は豪雪にも助けられながら伊達勢の攻撃を耐え忍びました。同年11月17日には、人取橋の戦いにおいて佐竹義重が伊達勢を打ち破ったことで、一旦は二本松城の包囲が解かれました。

しかし、翌年に入ると、伊達成実の調略によって城内に内応者が出るなど、籠城戦の継続が困難な状況に陥ります。天正14年（1586年）7月16日、相馬義胤の仲介により開城を決意し、会津の蘆名氏のもとへ退去しました。

会津において元服し、義綱と名乗るようになった国王丸でしたが、天正17年（1589年）に蘆名氏が摺上原の戦いで伊達政宗に敗れ、滅亡。義綱は実家である佐竹氏を頼り、蘆名義広に同行して常陸国江戸崎へと移ります。しかし、同地において義広の命を受けた沼沢実通によって暗殺されました。享年16歳という若さでした（佐竹領への逃走中に足手まといとして殺害されたという説もあります）。

義綱の死によって、戦国大名としての二本松氏は事実上滅亡しました。

『続群書類従』所載の「二本松系図」によれば、義綱には遺児（二本松満重）がいたとされていますが、その後の事績は不明です。なお、義綱の弟・梅王丸は、上杉景勝らの客分を経て水野氏に仕え、二本松義孝と名乗りました。

二本松義綱は、若くして家督を継ぎ、伊達政宗の侵攻に勇敢に抵抗しましたが、時代の波に翻弄され、悲劇的な最期を遂げました。彼の短い生涯は、戦国時代の厳しさを物語るものとして、後世に語り継がれています。

参考文献

『二本松市史』（福島県二本松市）
第1巻 通史編1（原始・古代・中世）1999
* 第3巻 資料編1（原始・古代・中世）1981

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