二朮湯

二朮湯（にじゅつとう）

二朮湯は、中国明代の医学書『万病回春』に記載されている漢方薬で、水毒による症状の改善を目的としています。特に、腕や肩の痛み、しびれといった症状に効果があり、五十肩の治療に用いられることがあります。名前の由来は、構成生薬である白朮（びゃくじゅつ）と蒼朮（そうじゅつ）の二つの「朮」を含むことに由来します。

構成生薬

二朮湯は、複数の生薬が組み合わさって構成されています。各生薬の分量は、体質や症状に合わせて調整されることがあります。

蒼朮 (1.5～3g)
白朮 (1.5～2.5g)
茯苓（ぶくりょう）(1.5～2.5g)
黄芩（おうごん）(1.5～2.5g)
半夏（はんげ）(2～4g)
香附子（こうぶし）(1.5～2.5g)
陳皮（ちんぴ）(1.5～2.5g)
威霊仙（いれいせん）(1.5～2.5g)
天南星（てんなんしょう）(1.5～2.5g)
羌活（きょうかつ）(1.5～2.5g)
生姜（しょうきょう）(0.6～1g)
甘草（かんぞう）(1～1.5g)

効能・効果

二朮湯は、体の余分な水分を取り除くことで、以下の症状に効果を発揮するとされています。

腕や肩の痛み、しびれ
五十肩
関節痛
神経痛

これらの症状は、体内の水分代謝が滞り、関節や筋肉に水分が溜まることで悪化すると考えられています。二朮湯は、これらの水毒による症状を改善する効果が期待できます。

副作用

二朮湯は、漢方薬であり比較的安全に使用できますが、まれに副作用が現れることがあります。

偽アルドステロン症：甘草に含まれる成分が原因で、血圧上昇、むくみ、低カリウム血症などが起こることがあります。
間質性肺炎：まれに、呼吸困難、発熱、咳などの症状が現れることがあります。
肝障害：まれに、肝機能の悪化が見られることがあります。

副作用が疑われる場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

使用上の注意

二朮湯を使用する際は、以下の点に注意してください。

医師または薬剤師の指示に従って服用してください。
妊娠中または授乳中の方、高齢者、体の虚弱な方は、使用前に医師または薬剤師に相談してください。
他の医薬品やサプリメントとの併用には注意が必要です。
副作用が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

参考文献

『欽定古今圖書集成』博物彙編 第四百六十八巻
* 田中耕一郎『生薬と漢方薬の事典』日本文芸社、2020年、230頁。ISBN 978-4-537-21780-3

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