二条為世

二条為世（にじょう ためよ）は、鎌倉時代後期から南北朝時代初期にかけて活躍した公卿・歌人であり、歌道二条派の祖である二条為氏の長男です。権大納言にまで昇りつめたため、藤大納言とも呼ばれていました。

生涯

弘安6年（1282年）に参議に任じられ、その後、正二位権大納言に至りました。大覚寺統（後の南朝）の天皇に近侍する一方で、持明院統（後の北朝）の伏見天皇に近侍した従弟の京極為兼とは激しく対立しました。

嘉元元年（1303年）には、後宇多上皇の命を受けて『新後撰和歌集』を撰進しています。延慶2年（1309年）頃には、為兼と勅撰和歌集の撰者の地位を巡って争いましたが、敗れた為世は為兼に『玉葉和歌集』の撰進を許すこととなりました。しかし、元応2年（1320年）には再び後宇多上皇に『続千載和歌集』を撰進しています。

為世は門弟として、地下出身の浄弁、頓阿、兼好、慶運らを育成し、二条派を広めました。自身は二条派の宗匠として、その歌風を完成させたとされています。元徳元年（1329年）に出家し、法名を明融と改めました。延元3年（1338年）8月5日、89歳で亡くなりました。

作品と歌風

家集として「為世集」（後人の撰集）が残されています。また、現存する為世の自筆としては、数枚の短冊と古筆切『五条切』があります。歌論書としては『和歌庭訓』が知られています。

『続拾遺和歌集』以下の勅撰和歌集や、『続現葉和歌集』などの私撰和歌集、『嘉元仙洞御百首』『文保御百首』などの定数歌にも多数の歌が収録されています。その歌風は平淡美を尊び、余情ある歌を詠んだと評されています。

系譜

父：二条為氏（1222-1286）
母：飛鳥井教定の娘
正室：賀茂氏久の娘
長男：二条為道（1271-1299）
次男：二条為藤（1275-1324）

生母不明の子女として、以下の人物がいます。

男子：二条為宗
男子：二条為躬
男子：二条為冬
女子：二条為子（?-1311/1322） - 尊治親王（後の後醍醐天皇）妃
女子：昭訓門院春日局 - 西園寺実衡室
女子：室町院大納言局
女子：藤原兼信室

二条為世は、歌人としての才能はもちろんのこと、後進の育成にも力を注ぎ、二条派の発展に大きく貢献しました。その功績は、後世にまで語り継がれています。

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