二軒茶屋餅

二軒茶屋餅

二軒茶屋餅は、三重県伊勢市に本店を構える角屋本店が製造する人気の和菓子です。地元では「にけんぢゃやもち」とも呼ばれ、長きにわたり親しまれています。

歴史

角屋本店の創業は天正3年（1575年）に遡ります。当時、伊勢神宮への参拝は海路を利用するのが一般的で、勢田川を遡った場所には、参拝客をもてなす茶屋が立ち並んでいました。その中でも角屋と湊屋の二軒の茶屋が特に有名で、この地が「二軒茶屋」と呼ばれるようになったと言われています。湊屋は残念ながら現存しませんが、角屋は創業から400年以上経った現在も、二軒茶屋餅の製造・販売を続けています。

大正12年（1923年）には、18代目の当主である鈴木藤吉が、味噌と溜まりの醸造も開始しました。そして、平成6年（1994年）には、不動産部門を分離し、有限会社二軒茶屋餅角屋本店として法人化されました。現在では、地ビールの伊勢角屋麦酒や神都麥酒、味噌、醤油なども製造・販売しており、多角的な経営を行っています。

現在の社長は、創業者から数えて21代目の鈴木成宗氏です。東北大学農学部を卒業後、二軒茶屋餅角屋本店を経営し、日本商工会議所青年部元副会長や伊勢商工会議所青年部元会長なども務めました。現在は三重大学地域イノベーション学研究科の博士課程後期を単位満了退学し、その後、博士（学術）を授与されています。

また、三重大学と共同で新たな地ビールを開発し、その地ビールは平成26年（2014年）9月に開催された国際大会「インターナショナル・ビアカップ」のボトル缶・ハーブおよびスパイスビール部門で金賞を受賞しました。

特徴

二軒茶屋餅は、きな粉をまぶした餅の中に、上品な甘さのあんこが入った和菓子です。餅の柔らかさと、きな粉の香ばしさ、あんこの甘さが絶妙なバランスで調和し、多くの人に愛されています。

明治天皇の記念碑

角屋の敷地内には、樹齢400年を超える大楠があり、その下には記念碑が建立されています。この記念碑は、明治5年（1872年）に明治天皇が海路で伊勢神宮に参拝した際、二軒茶屋に上陸されたことを記念して建てられたものです。

角屋民具館

角屋の裏手にある建物は、かつて餅の原料となる黒砂糖を保管していた蔵でしたが、現在は「角屋民具館」として一般公開されています。江戸時代から使われていた餅作りの道具や商売道具、生活雑貨などが展示されており、当時の生活を垣間見ることができます。大きな民具や農具、銭箱など、実際に手に取って見ることができる展示物も数多くあります。建物の一角は川の駅にもなっています。

味噌たまり蔵・地ビール蔵

二軒茶屋餅角屋本店の味噌醤油工場は、「味噌たまり蔵」として見学を受け入れています。100年前から続く伝統的な味噌醤油の醸造設備を見学することができ、昔ながらの天然醸造で、伊勢うどんのつゆなどに使われるたまりや醤油、味噌が作られています。仕込みの工程をすべて見ることができ、生のたまりの試飲も可能です。また、隣接する地ビール蔵では、地ビール「神都麥酒」が造られる様子を見学できます。

店舗

本店 - 三重県伊勢市神久六丁目8-25
内宮前店 - 三重県伊勢市宇治今在家町字東賀集楽34
外宮前店 - 三重県伊勢市本町13-6
売店麦酒蔵 - 三重県伊勢市神久6-428

二軒茶屋餅は、伊勢を訪れた際にはぜひ味わっていただきたい銘菓です。その歴史と伝統、そして変わらぬ美味しさを、ぜひご堪能ください。

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