二階堂卓也

二階堂卓也：映画と漫画の世界を駆け抜けた情熱の編集者

二階堂卓也（にかいどう たくや、1947年 - ）は、日本の映画評論家、雑誌編集者であり、本名は大塚公平（おおつか こうへい）といいます。彼の活動は、映画への深い愛情と、漫画編集者としての卓越した才能が融合した、独特なキャリアを築いています。

映画への情熱

二階堂氏は、幼少期から映画に魅了され、特に新東宝、東宝時代劇、日活アクション、やくざ映画、香港活劇、そしてマカロニウエスタンといった、一般的にB級、C級と評される娯楽映画を徹底的に鑑賞しました。これらの作品群は、彼の映画評論の基盤となり、独自の視点と熱意に満ちた評論活動を展開する原動力となりました。彼の評論は、単なる作品批評にとどまらず、映画文化全体への深い洞察と愛情が込められています。

漫画編集者としての才能

昭和40年代中頃から、二階堂氏は秋田書店で、壁村耐三氏の下で「週刊少年チャンピオン」と「月刊少年チャンピオン」の編集者として活躍しました。この時期、古賀新一の『エコエコアザラク』、どおくまんの『暴力大将』『熱笑!! 花沢高校』、内崎まさとしの『らんぽう』、小山田いくの『すくらっぷ・ブック』など、多くの人気漫画の編集を担当しました。特に「月刊少年チャンピオン」では『劇画ロードショー』と題し、数々の映画作品のコミカライズを手がけ、映画と漫画の融合を試みました。

その後、「ボニータ」を経て、「プレイコミック」の編集長に就任しました。休刊寸前であった同誌を、真樹日佐夫・影丸穣也の『新書ワル』、堂上まさ志の『銀玉マサやん』、乾はるかの『お元気クリニック』などの娯楽路線に転換し、見事に立て直しました。この功績が認められ、「週刊少年チャンピオン」の第7代編集長に抜擢され、1994年から2002年までその任を務めました。

「週刊少年チャンピオン」編集長時代には、豊富な娯楽映画の知識を活かし、西条真二の『鉄鍋のジャン！』、米原秀幸の『フルアヘッド!ココ』、高橋葉介の『学校怪談』、やまさき拓味の『優駿の門』など、数々の人気連載を立ち上げました。これらの作品は、彼の編集者としての類まれな才能と、娯楽に対する深い理解を示しています。

小林旭への熱烈な愛

二階堂氏は熱烈な小林旭ファンとしても知られており、「二階堂卓也」というペンネームも、小林旭主演の映画『銀座旋風児』シリーズの主人公から引用しています。このことからも、彼の映画への情熱と、特定の俳優への深い愛情が伺えます。

著作活動

二階堂氏は、自身の映画評論や研究の成果を、数多くの著書として発表しています。『マカロニ・アクション大全 剣と拳銃の鎮魂曲』、『マカロニ・マエストロ列伝 暴力と残酷の映画に生きた映画職人たち』、『イタリア人の拳銃ごっこ マカロニ・ウェスタン物語』、『剣とサンダルの挽歌 イタリア歴史活劇映画大全』、『新東宝・大蔵怪奇とエロスの映画史 海女と天皇と活劇渦巻地帯!』など、その著作は、マカロニウェスタンをはじめとする娯楽映画への深い知識と愛情に満ちています。また、『ピンク映画史 欲望のむきだし』、『洋ピン映画史 過剰なる「欲望」のむきだし』といった作品では、ピンク映画というジャンルにも果敢に挑み、新たな視点を提供しています。さらに、大塚公平名義で執筆した『漫曲グラフィティ あるコミック編集者の回想』では、自身の漫画編集者としての経験を振り返り、貴重な証言を後世に残しています。

まとめ

二階堂卓也は、映画評論家、雑誌編集者として、独自の視点と情熱で多くの人々を魅了してきました。彼の活動は、映画、漫画、そしてそれらが生み出す娯楽という文化全体に対する深い愛情と、卓越した才能によって支えられています。今後も、彼の活動から目が離せません。

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