于定国

于定国: 前漢の合法な丞相

于定国（う ていこく、? - 紀元前40年）は、前漢の時代に活躍した政治家であり、法律の専門家として名を馳せた。彼の字は曼倩であり、東海郡の郯県出身である。彼はその生涯において丞相にまで昇り詰め、その名声は後世に語り継がれることとなった。

略歴

于定国の父、于公は公正な裁きで知られており、彼の業績が認められると、生前から祠が建てられていた。ある時、彼は地元の門を再建する際に、「門は立派な車も通過できるほどの大きさにすべきである。私が公平な裁判を行っているおかげで、子孫たちが立派になれる」と述べた。このように、公正さを重んじる精神は於定国にも受け継がれていった。

于定国は父から法律を学び、父の死後には同じく獄の役人として職に就いた。その後、廷尉史となり、さらには御史中丞として反乱者の取り扱いを任され、優れた能力を評価された結果、侍御史や御史中丞として昇進した。

元平元年（紀元前74年）、昭帝が亡くなると、昌邑王劉賀が即位したが、彼の行動は淫乱であったことから於定国は厳しく諌めた。しかし、劉賀が廃位され、新たに宣帝が即位すると、賢明な意見を述べた者たちが抜擢され、彼も光禄大夫および平尚書事に任じられるという栄誉を受けた。

その後、本始3年（紀元前71年）には水衡都尉、地節元年（紀元前69年）には廷尉に昇進した。于定国は修行を重ね、儒教の経典『春秋』を学ぶことで、儒者を敬う姿勢を持つようになった。彼は裁判においても、常に弱者に対する思いやりを持ち、罪が疑わしい場合には軽い判決を下すことを大切にし、慎重な姿勢を崩さなかった。

そのため、朝廷では「張釈之が廷尉になった際には天下に冤罪の民はいなくなり、于定国が廷尉になった際には民は冤罪を心配することがなくなった」と称賛された。また、彼は酒好きではあったが、不思議なことに酒を飲んでいる時の方が複雑な案件を明晰に裁くことができたと言われている。

廷尉を18年務めた後、甘露2年（紀元前52年）には杜延年の後を受けて御史大夫に就任し、甘露3年（紀元前51年）には黄覇の死後に丞相の地位に昇進し、西平侯として封じられた。

宣帝の死後、元帝が即位すると、于定国は旧臣として厚遇され、その意見が尊重された。御史大夫の陳万年は彼と議論を交わすことはなかったものの、新たに任命された貢禹はしばしば于定国の意見に反対することがあった。多くは丞相の意見が重視されたが、天災やそれによる流民の問題について大臣たちが責められることになると、元帝は丞相や御史大夫に対して厳しい叱責を行った。

永光元年（紀元前43年）、日食の発生があった際に再度叱責を受けた於定国は、自ら職を辞する決断を下した。永光4年（紀元前40年）に彼は他界し、安侯と呼ばれることとなった。彼の子である于永もまた列侯を継ぎ、最終的には御史大夫の地位を得ることとなった。於定国の生涯は、法律と公正を重んじる政治家として後世に影響を与えるものであった。

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