五ヶ所湾

五ヶ所湾について

五ヶ所湾は、三重県度会郡南伊勢町に位置する、美しいリアス式海岸の湾です。田曽岬と止の鼻によって外海と隔てられ、湾の奥には町の中心部である五ヶ所浦が広がっています。その複雑に入り組んだ地形は、まるでカエデの葉のように見えることから、「楓江（ふうこう）」という別名も持っています。また、湾の入り口には「伊勢の南玄関」と記された堤防があり、この地域を象徴する存在となっています。

地形の特徴

志摩半島の一部である五ヶ所湾は、典型的なリアス式海岸であり、海岸線は非常に複雑です。南伊勢町は平地が非常に少なく、湾岸沿いは急峻な地形が続いています。湾内には葛島や七日島などの無人島や岩礁が点在し、自然豊かな景観を作り出しています。

湾口付近では、海食崖が発達し、削られた土砂が沿岸流によって運ばれ、小さな砂嘴を形成しています。これらの砂嘴は、湾の内外にラグーン（潟湖）を作り出しており、独特の景観を作り出しています。特に、相賀浦の大池は、このラグーンの代表的な例として挙げられます。湾の奥は波が穏やかなため、真珠養殖に適しており、盛んに行われています。

名前と地域の呼び方

五ヶ所湾の名前は、湾内に5つの天然の良港があったことに由来すると言われています。また、沿岸の地区には「浦」と付く地名が多く、地域の人々はしばしば「浦」を省略して呼ぶ習慣があります。例えば、五ヶ所浦は「五ヶ所」、礫浦（さざらうら）は「礫」と略されます。

経済活動

五ヶ所湾では、真珠、鯛、ハマチ、アオノリなどの養殖が盛んです。また、カツオの遠洋漁業の基地となっている港もあり、水産資源に恵まれた地域であることがわかります。

観光とレジャー

五ヶ所湾は、マリンスポーツが楽しめる観光地としても知られています。志摩ヨットハーバーやマリンパーク・くまの灘などがあり、ヨットやボート、海水浴などを楽しむことができます。また、海釣りスポットも点在しており、釣り好きにも人気です。湾岸には民宿や旅館などの宿泊施設も数軒あります。

2003年（平成15年）には、官民一体となって「五ヶ所湾きらりふれあいの会」が結成されました。この会は、「海と山の暮らしとふれあう本物の体験」をコンセプトに、様々なイベントや体験プログラムを提供しており、地域の魅力を発信しています。

交通

かつては、湾岸の各地区を結ぶ旅客船が運航していましたが、現在は廃止されています。その代わりに、南伊勢町営バスが湾岸地域を結ぶ役割を担っています。また、ほぼ湾岸沿いに国道260号が走っていますが、平地が少ないため、トンネルやカーブが多くなっています。

その他

五ヶ所湾は、1954年に公開された映画『ゴジラ』のロケ地としても知られており、劇中の「大戸島」のモデルとなりました。この映画は、五ヶ所湾の自然豊かな風景を広く知らしめるきっかけとなりました。

五ヶ所湾は、豊かな自然と人々の営みが調和した、魅力的な場所です。リアス式海岸特有の複雑な地形が生み出す美しい景観、豊富な海の幸、そして様々なレジャーアクティビティは、多くの人々を魅了し続けています。

もう一度検索