五十瓊敷入彦命

五十瓊敷入彦命（いにしきいりひこのみこと）

五十瓊敷入彦命は、生没年不詳の古代日本の皇族です。『日本書紀』では「五十瓊敷入彦命」「五十瓊敷命」「五十瓊敷皇子」、『古事記』では「印色入日子命」と表記されます。第11代垂仁天皇の皇子であり、第12代景行天皇の同母兄として知られています。

系譜

五十瓊敷入彦命は、垂仁天皇と日葉酢媛命の間に生まれた皇子です。弟妹には、景行天皇、大中姫命、倭姫命、稚城瓊入彦命がいます。

記録

『日本書紀』には、五十瓊敷入彦命に関する以下の事績が記されています。

弓矢への関心: 垂仁天皇から望むものを聞かれた際、弓矢を望んだ。
池の造成: 河内に派遣され、高石池・茅渟池を造成した。
石上神宮への剣の奉納: 菟砥川上宮で剣1千口を作り、石上神宮に納めた。以後、石上神宮の神宝を管掌した。
品部の賜与: 大刀製作にあたり、楯部・倭文部など10の品部を賜った。
* 神宝管掌の委譲: 老齢のため、石上神宮の神宝の管掌を妹の大中姫命に託した。

『古事記』では、血沼池・狭山池・日下の高津池を造ったとされています。また、鳥取河上宮で横刀1千口を作らせて石上神宮に納めたことが記されています。

墓

五十瓊敷入彦命の墓は、宮内庁により大阪府泉南郡岬町淡輪にある宇度墓に治定されています。この墓は前方後円墳であり、「淡輪ニサンザイ古墳」として知られています。

『延喜式』には「宇度墓」として記載され、和泉国日根郡に所在し、東西3町・南北3町の兆域を持つとされています。また、守戸3烟が付されていたことが記されています。

中世には荒廃して所在が失われましたが、明治時代に現在の墓に改められました。

伝承

伊奈波神社の社伝によると、五十瓊敷入彦命は奥州を平定しましたが、陸奥守豊益の讒奏により朝敵として討たれたとされています。妃の渟熨斗姫命は、夫の死を悲しみ、この地で命の御霊を慰めつつ生涯を終えたと伝えられています。

五十瓊敷入彦命は、皇族として、また治水や武具の奉納を通じて、古代日本の社会に貢献した人物として語り継がれています。石上神宮との深い関わりを示す伝承は、現在もその存在を伝えています。

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