日葉酢媛命

日葉酢媛命について

日葉酢媛命（ひばすひめのみこと）は、生年不詳で、垂仁天皇の第二皇后として名を馳せた人物です。彼女の父は丹波道主王、母は丹波之河上之麻須郎女であり、彼女の家系は日本の古代を支えた重要な血筋です。日葉酢媛命は、垂仁天皇との間に景行天皇を始めとする二人の皇子と二人の皇女を授かりました。

彼女の名前は『日本書紀』において「日葉酢媛」と記され、他にも「日葉酢根命」や「日葉洲媛命」とも称されています。また、『古事記』では「氷羽州比売命」や「比婆須比売命」との表現があります。これらの異なる表記は、彼女が持つ広範な影響力を物語っています。

日葉酢媛命の一生の中で特に重要な出来事は、彼女が垂仁天皇の第一皇后、狭穂姫命が亡くなった後、後宮に迎え入れられたことです。『日本書紀』によると、これは天皇の意志によるもので、彼女は同天皇15年、2月10日に丹波から妹たちと共に後宮に入り、同年8月に正式に皇后として立てられました。

日葉酢媛命は、垂仁天皇32年の7月6日に亡くなりました。彼女の葬儀では、天皇が殉死の悪習を嘆いた結果、野見宿禰の提案により、生者の代わりに埴輪を設置することが決定されました。これにより、陵墓が新たに設計され、以降この慣習が続くこととなります。この故に、彼女の葬儀はただの儀式ではなく、文化的な転換が行われた意味深い出来事でした。

『古事記』には、日葉酢媛命が天皇崇敬の中でも生き続け、多遅摩毛理（田道間守）から時じくの香の木の実の一部を受け取ったと記載されています。これは彼女の影響力が霊的な存在にまで及んでいたことを示唆しています。また、この時期に石祝作（いわきつくり）と土師部（はにしべ）を設定したとも伝えられています。

陵の場所

日葉酢媛命の陵은、奈良県奈良市の狭木之寺間陵（さきのてらまのみささぎ）に位置しています。宮内庁によりこの場所が陵として治定されており、形式は前方後円墳です。具体的には、遺跡名は「佐紀陵山古墳」として知られ、墳丘長は207メートルに達します。中世にはその所在が失われる時期もありましたが、明治8年、1875年に再度確認され、修治が施されました。

日葉酢媛命は日本の古代において重要な役割を果たした皇后であり、彼女の存在は日本の歴史の中で長く語り継がれることでしょう。

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