倭姫命

倭姫命について

倭姫命（やまとひめのみこと、生没年不詳）は、日本の歴史書『日本書紀』や『古事記』に記された古代日本の皇族です。垂仁天皇の第四皇女であり、母は皇后の日葉酢媛命です。彼女は日本の神々への重要な奉仕を果たした人物で、特に伊勢神宮との関わりが深いとされています。彼女が天照大神を伊勢に祀ることにより、伊勢神宮が創建されたと言われています。

経歴

倭姫命は第10代崇神天皇の皇女、豊鍬入姫命の後を継ぎ、天照大神の御杖代として任じられました。彼女は大和国から伊賀、近江、美濃、尾張を経て伊勢に至り、神託に導かれながら皇大神宮（伊勢神宮内宮）を建立したと伝えられています。「御杖代」とは神の依り代として奉仕する者のことを指し、ここでは文字通り神の杖の代わりとなる役割を果たしたとされています。また、倭姫命が伊勢神宮を創建する際には、すでに八咫鏡が神体として奉斎される先行する場所が「元伊勢」と呼ばれていました。

その後、彼女は第12代景行天皇の五百野皇女に後を継がせ、倭姫命の甥である日本武尊に草薙剣を授けるなど、彼女の影響力は続きました。最終的に倭姫命は伊勢の地で亡くなり、尾上御陵に埋葬されたとされています。これは、彼女が天照大神を祀る最初の女性としての地位を確立し、それが後の斎宮制度の起こりとなりました。権威のある歴史記録には、天照大神からの神託が伝えられています：「伊勢は常世の国から波が寄せる美しい辺境の地で、この国に鎮座しよう」という内容です。

墓

倭姫命の墓に関する公式な治定は存在しませんが、三重県伊勢市倭町の宇治山田陵墓参考地では彼女が被葬候補者とされています。この場所は「尾部古墳」として知られ、方墳としての特徴を持つものです。通称「尾上御陵」または「倭姫命御陵」とも呼ばれており、伊勢神宮の内宮と外宮の間に位置しています。古い記録によると、すでに永保2年（1082年）には尾部の御陵についての記事が存在し、江戸時代には倭姫御陵として言及されていました。明治時代に実施された発掘では銅環や鈴、須恵器などが出土し、1921年には墳丘の構造が南に向かって開口する横穴式石室であることが確認されました。現在は宮内庁によって管理されています。

考証

倭姫命は、邪馬台国の女王・卑弥呼と同一視されることがあります。これは、彼女が神を祀る重要な役割を持っていたという点から来ています。『日本書紀』の年代に従えば、彼女が豊鍬入姫命の後を継いだ時にはまだ幼い少女であり、後に五百野皇女に引き継がせた際には高齢であったとされます。これは、彼女の存在が深い歴史的背景を持っていることを示唆しています。さらに、異伝によると、倭姫命は最初の御杖代として、垂仁天皇26年の10月に伊勢の渡遇宮に遷ったとされています。

倭姫命の歴史的背景や影響力は、古代日本の神道と皇室の歴史を紐解く際に不可欠な要素です。彼女の伝承は、伊勢神宮の重要性を再確認する物語の一部として今も語り継がれています。

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