五塚原古墳

五塚原古墳 (いつかはらこふん)

五塚原古墳は、京都府向日市寺戸町芝山に位置する古墳であり、古墳時代の前方後円墳の中でも最古の大規模墳として知られています。この古墳は向日丘陵古墳群を形成する一部であり、国の史跡に指定されています。推定される築造時期は3世紀中葉から後半にかけてであり、古墳時代初期の重要な遺跡とされています。

古墳の概要

五塚原古墳は京都盆地の南西端、向日丘陵の南部の尾根上に位置しています。古墳の墳形は前方部がバチ形に広がる前方後円形で、墳丘は後円部が3段、前方部が2段に築かれています。全体的には巨石による盛土で構成されており、その外観は美しい状態で保たれています。これまでに数度の発掘調査が行われ、後円部の北西側は宅地造成によって削平されていますが、墳丘全体はかなり良好に残存しています。

発掘調査の歴史

五塚原古墳に対する発掘調査は、1967年から始まり、測量や電気探査が行われました。その後、いくつかの大学や文化財センターによって詳細な調査が続けられ、特に2000年から2018年にかけての調査では、多くの重要な発見がありました。2016年には国の史跡に指定され、広く研究対象として認識されています。これらの調査により、古墳の構造や埋葬施設についての理解が深まりました。

墳丘の詳細

墳丘の復元規模は長さ91.2メートル、後円部の直径は55メートル、高さは8.7メートルに及びます。また、前方部の長さは40.5メートル、幅は33メートル、そして高さは4.0メートルです。墳丘の斜面には「斜路状平坦面」があり、これは古墳の重要な特徴となっています。この形式は箸墓古墳との類似点が指摘されています。

埋葬施設

五塚原古墳の埋葬施設は、後円部の頂上に位置する竪穴式石室です。この石室は自然石の積み重ねによって作られており、大型前方後円墳における石室の中では特に注目されています。発掘調査の結果、長さ6.2メートル、幅1.3メートルの石室が確認され、深さは1.5メートル以上に達することが推定されています。また、後円部の西側には埴輪棺1基も発見され、これが4世紀中頃の製作と考えられています。これにより、五塚原古墳の被葬者とその周辺に埋葬された人物との間に親族関係があった可能性が示されています。

出土品

出土品としては、埴輪棺が主に発見されています。この埴輪は上部が球状の特異な形状をしており、丹後型円筒埴輪の基になる可能性が指摘されています。しかし、調査範囲内で確認された出土品はこれに限られており、円筒埴輪などの他の遺物の存在は確認されていません。

まとめ

五塚原古墳は、その歴史的価値と共に、古墳時代の文化や葬制を知る上での重要な遺跡であり、さらなる研究が期待されています。現在もなお多くの発掘調査が行われており、新たな知見が明らかにされ続けています。

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