五所川原町

五所川原町（ごしょがわらまち）

五所川原町は、青森県北津軽郡にかつて存在した町です。現在の五所川原市の一部にあたります。

地理

広大な津軽平野の中央部に位置した五所川原町は、起伏が少なく平坦な土地が広がっていました。町の西側には岩木川が流れ、遠方には「津軽富士」と呼ばれる岩木山の美しい姿を望むことができました。東には梵珠山や大蔵岳といった山々が見えました。町の東、北、南の三方は広々とした田園地帯に囲まれており、市街地は南北に長く発達し、東西の広がりは限られた形状でした。

歴史

この地域は、古くは天将年間（1573年-1592年）に津軽藩の所領となりました。当初、五所川原村、川畑村、大曲村、大林村、中和泉村、鎌屋村の六つの村が存在しましたが、貞享3年（1686年）には川畑村と大曲村が合併して喰川村となり、大林村は柏原村に、中和泉村は平井村にそれぞれ改称されました。その後、明治9年（1876年）に至り、これら五つの村が合併して五所川原村となりました。明治31年（1898年）7月には町制が施行され、五所川原町となりました。

近現代においては、明治22年（1889年）4月1日に町村制が施行された際、北津軽郡五所川原村が単独で村制を施行し、五所川原村（ごしょがわらむら）として発足しました。そして、明治31年（1898年）7月1日に町制を施行し、五所川原町となりました。昭和29年（1954年）10月1日には、周辺の栄村、中川村、三好村、長橋村、松島村、飯詰村と合併し、新たに市制を施行して五所川原市が誕生したことにより、五所川原町はその歴史を終えました。

経済

産業として特記すべきものは少なかったとされていますが、周辺が豊かな農村地帯であり、また交通の要衝に位置していたことから、地域で生産された物資が集散する中心地として重要な役割を担っていました。町には農業に熱心な篤農家が多くおり、『大日本篤農家名鑑』には、三上豊太郎、平山助六、平山浪三郎、大郷瀧一郎、岡本達夫、神祐益、佐々木嘉太郎、佐々木喜太郎といった名が記されています。

町内には金融機関として五所川原銀行や第五十九銀行五所川原支店があり、1908年（明治41年）に設立されたと記録されています。また、1910年（明治43年）設立で貸金業を営んでいた佐々木合名会社（代表社員：佐々木嘉太郎）や、弘前電燈五所川原支店、陸奥鉄道といった企業や事業所が存在していました。

公共施設

町内には、五所川原町警察署、五所川原簡易裁判所、五所川原区検察庁といった司法・治安に関わる施設や、北地方事務所、五所川原郵便局、五所川原公共職業安定所といった行政・通信・雇用関連の機関が置かれていました。また、農業関連組織である五所川原町農業協同組合や、文化・交流の拠点であった五所川原町公民館もありました。

教育

町内には、五所川原農林高等学校、五所川原女子高等学校といった高等学校に加え、五所川原中学校、五所川原小学校といった教育機関が存在し、地域の教育を担っていました。

交通

交通網としては、後の日本国有鉄道五能線となる陸奥鉄道と、津軽鉄道が通じていました。これらの鉄道路線は、町が物資集散地・交通の要衝となる上で重要な役割を果たしました。

ゆかりのある人物

五所川原町には、地域経済や政治を牽引した多くの著名人がゆかりを持っていました。初代および二代目の佐々木嘉太郎は、呉服商、多額納税者、貴族院議員、銀行頭取、大地主として大きな影響力を持っていました。他にも、素封家の佐々木喜太郎、町会議員や運送会社社長を務めた佐々木亀吉、多額納税者で銀行頭取の佐々木彰造、町長を務めた佐々木哲造といった佐々木家関連の人物が多く見られます。また、佐々木家と同様に多額納税者、貴族院議員、銀行頭取、大地主であった平山浪三郎も町に深く関わりのある人物でした。

参考文献

本記事の作成にあたり、『五所川原町水道誌』、『大日本篤農家名鑑』、『日本全国諸会社役員録』、『市町村名変遷辞典』、『五所川原町制五十年記念誌』、『青森県市町村合併誌』などを参照しました。

関連項目

青森県の廃止市町村一覧

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