五虎湯

五虎湯（ごことう）

五虎湯は、激しい咳や呼吸困難を伴う症状の緩和に用いられる漢方薬です。明代の医学書『万病回春』を出典とし、麻杏甘石湯に桑白皮を加えた処方です。その名前は、五種類の生薬と、五臓の肺を守護する神である白虎に由来します。

構成生薬

五虎湯は、以下の五種類の生薬から構成されています。

石膏（セッコウ）：10.0g
麻黄（マオウ）：4.0g
杏仁（キョウニン）：4.0g
甘草（カンゾウ）：2.0g
桑白皮（ソウハクヒ）：2.0g

これらの生薬が組み合わさることで、鎮咳、去痰、抗炎症などの効果を発揮し、呼吸器系の症状を改善します。

用法

通常、成人は1日6.0gを2～3回に分けて、食前または食間に経口投与します。五虎湯は、体力中等度の人に適しており、一般的に高齢者や虚弱な人への使用は慎重を要します。妊婦や授乳婦に対する安全性は確立されていないため、有効性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用されます。

適応症

五虎湯は、以下の症状や疾患に対して用いられます。

感冒
気管支喘息
急・慢性気管支炎
気管支拡張症

特に、喘鳴（ぜんめい）や呼吸困難を伴う激しい咳、口渇、発汗などの症状が見られる場合に適しています。

副作用

五虎湯の使用にあたっては、以下の副作用に注意が必要です。

偽アルドステロン症
ミオパシー
不眠
動悸
頻脈
発汗過多
精神興奮
胃の不快感
食欲不振
悪心
嘔吐
下痢
発疹
かゆみ
排尿障害

これらの症状が現れた場合は、直ちに医師または薬剤師に相談してください。

併用注意

五虎湯は、以下の薬剤との併用に注意が必要です。

エフェドリン含有製剤
MAO阻害剤
カテコールアミン製剤
甲状腺製剤

これらの薬剤と併用すると、相互作用により予期せぬ副作用が生じる可能性があります。

その他の注意点

小児等に対する安全性は確立されていません。
吸湿性があるため、開封後の取り扱いには注意が必要です。

関連医薬品

麦門冬湯：喉を潤し、痰の少ない乾いた咳に使用されます。
小青竜湯：湿性の咳嗽や喘息に使用されます。
* 麻杏甘石湯：五虎湯の元となった処方で、咳に有効です。

五虎湯は、適切な使用により、呼吸器系の症状を緩和する効果が期待できます。しかし、副作用や併用注意点も存在するため、医師または薬剤師の指導のもとで使用することが重要です。

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