小青竜湯

小青竜湯（しょうせいりゅうとう）

小青竜湯は、中国の伝統医学である漢方において用いられる処方の一つです。その起源は、今から約1800年前に書かれたとされる医学書「傷寒論」に遡ります。現在では、医療機関で医師が処方する医療用医薬品と、薬局やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品（OTC医薬品）の2種類が存在します。

効果・効能

小青竜湯は、主に以下の症状に対して効果を発揮します。

気管支炎
気管支喘息
鼻水
うすい水様の痰を伴う咳
鼻炎

これらの症状は、アレルギーや寒冷刺激などが原因で、体内の水分代謝が乱れることによって引き起こされると考えられています。小青竜湯は、体を温め、水分代謝を改善することで、これらの症状を緩和します。

保険が適用される医療用医薬品のエキス剤においては、上記の症状に加えて、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒にも効果・効能が認められています。

臨床試験

小青竜湯の効果は、複数の臨床試験によって科学的に検証されています。

通年性鼻アレルギー患者を対象とした試験: 小青竜湯を投与したグループは、プラセボ（偽薬）を投与したグループと比較して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が有意に改善しました。
気管支炎患者を対象とした試験: 水様の痰、喘鳴、咳のいずれかを有する軽症から中等症の気管支炎患者を対象とした試験では、小青竜湯を投与したグループは、プラセボ群と比較して、咳の回数、咳の強さ、喀痰の切れが有意に改善しました。

これらの試験結果は、小青竜湯がアレルギー性鼻炎や気管支炎の症状緩和に有効であることを示唆しています。

組成

小青竜湯は、以下の8種類の生薬から構成されています。

半夏（はんげ）
乾姜（かんきょう）
甘草（かんぞう）
桂皮（けいひ）
五味子（ごみし）
細辛（さいしん）
芍薬（しゃくやく）
麻黄（まおう）

これらの生薬が組み合わされることで、体を温め、水分代謝を改善し、気管支や鼻の炎症を鎮める効果を発揮します。

方解

小青竜湯の名前は、中国神話に登場する四神の一つである青竜に由来します。青竜は東方を守護する神であり、麻黄の青い色から名付けられたという説があります。症状がより激しい場合には大青竜湯が用いられ、小青竜湯はそれよりも症状が軽い場合に適応されます。

禁忌

以下の患者には、小青竜湯の投与は禁忌とされています。

アルドステロン症のある患者
ミオパシーのある患者
低カリウム血症のある患者

副作用

小青竜湯の服用により、以下の副作用が現れることがあります。

間質性肺炎
偽アルドステロン症
ミオパシー
肝機能障害

これらの副作用は、まれに重篤化することがあります。小青竜湯の服用中に異常を感じた場合は、直ちに医師または薬剤師に相談してください。

関連処方

大青竜湯
朱雀湯
白虎湯
玄武湯

関連項目

* 青竜

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