井上元光

井上元光の生涯と功績

井上元光（いのうえ もとみつ）は、戦国時代の武将として毛利氏の重要な家臣を務めた人物である。彼は1489年、安芸国にて井上光兼の次男として生まれた。元光は清和源氏にそのルーツを持つ信濃源氏井上氏の一族であり、戦国の激動の中で多くの戦いに参加し、数々の功績を残している。

井上家と毛利氏の関係

元光は、もともと毛利氏と対等関係にあった国人としての地位を持っていた。彼は毛利弘元の娘と結婚したことを契機に、毛利氏との関係を深めていく。これにより、井上家の多くの一族が毛利弘元の家臣団に加わり、元光もまた家中で近習のような役割を果たすことになった。

戦の中での活躍

元光の戦歴は、永正14年（1517年）の有田中井手の戦いから始まる。ここでは、毛利元就に従い出陣し、山下小溝にて槍を駆使して前原某と山縣備中守を討取るという見事な戦果を挙げ、毛利幸松丸や元就から感状を受け取った。この経験が元光の名声を高め、多くの戦いでその実力を証明していくことになる。

さらに、天文9年から天文10年にかけて行われた吉田郡山城の戦いでも手柄を立て、同様に元就から感状を受けている。また、天文12年から天文13年の月山富田城の戦いでも元就に従い、特に出雲国の塩谷口の戦いにおいては弓矢を駆使して戦功を挙げ、元就・隆元連署の感状を授かるなど、彼の武将としての才能が光る時期であった。

経歴の転機と安芸井上氏の継承

しかし、天文19年（1550年）7月13日、元光にとって最も衝撃的な出来事が発生する。兄の井上元兼をはじめ、安芸井上氏の一族30余名が毛利元就の命により誅殺されたのである。元光は元就の妹婿という立場から粛清を免れ、8月1日には安芸井上氏の本家を相続した。この時、元光は名を「元在」から「元光」と改め、新たなスタートを切った。

その後、同年12月21日には安芸国高ノ峯城を預けられ、450貫の知行も与えられるなど、元光は家中でも重要な地位を築いていく。

最後の年

元光は日々の戦いや家中での責務を全うし、永禄10年（1567年）2月18日に79歳でこの世を去る。彼の死後は子の元義がその後を継いだ。元光の生涯は、多くの戦いと同時に、毛利氏との関係性を築いていく過程でもあり、戦国時代の複雑な人間関係を象徴するものである。

参考文献

• - 舘鼻誠「元就・隆元家臣団事典」（『毛利元就のすべて（新装版）』新人物往来社、1996年）
• - 『萩藩閥閲録』巻93「井上右衛門」

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