井上大助 (俳優)

井上大助：昭和を彩った名脇役

井上大助（いのうえ だいすけ、1935年5月20日 - 1977年8月12日）は、昭和期の日本映画界で活躍した俳優です。本名、入村直一。東京市京橋区（現：東京都中央区）越前堀で生まれました。一時期は井上大介名義で活動していました。

生い立ちとデビュー

井上の生家は製本工場を営んでいました。1950年、東宝配給映画『山のかなたに』のオーディションに合格し、同作の役名である「井上大助」をそのまま芸名として俳優デビューを果たします。翌年には東宝と専属契約を結び、「下町の端正なヤンチャな二枚目」として、瞬く間に少年スターとしての地位を確立しました。

1954年には中央高等学校（現・中央学院大学中央高等学校）を卒業後、中央商科短期大学に進学しますが、俳優業に専念するため中退。この頃から、趣味の寄席見物を通じて、立川談志や毒蝮三太夫らと親交を深めました。

俳優としての転機と晩年

演技力には定評があった井上でしたが、1960年代に入ると徐々に主要な役柄から遠ざかり、端役ばかりの仕事が増えていきました。その状況から酒に溺れるようになり、苦悩の日々を送りました。当時、井上を間近で見ていた立川談志は、「人気の頃にその人気をどう処理していいのかワカンなくなっちゃったようなところが見えた」「子役がつきあたる壁もあったろう」と、その胸中を推察しています。

1972年公開の『紙芝居昭和史 黄金バットがやって来る』を最後に、映画界から姿を消しました。晩年は事業に失敗し、生家を手放して東京都日野市に転居。1977年8月12日、胃穿孔のため42歳という若さで生涯を閉じました。

主な出演作品

井上大助は、数多くの映画に出演しました。以下に主な作品をいくつかご紹介します。

山のかなたに（1950年）
えり子とともに（1951年）
若い娘たち（1951年）
白痴（1951年）
夫婦 (1953年)
ひまわり娘 (1953年)
若い瞳 (1954年)
恋化粧 (1955年)
明治一代女 (1955年)
空の大怪獣ラドン (1956年)
青い山脈 (1957年)
銀座の恋人たち (1961年)
ニッポン無責任時代 (1962年)
宇宙大怪獣ドゴラ (1964年)
三大怪獣 地球最大の決戦 (1964年)
怪獣総進撃 (1968年)
ゴジラ対ヘドラ (1971年)
紙芝居昭和史 黄金バットがやって来る（1972年）

その他、社長シリーズやクレージー映画など、数多くの作品に出演し、その演技力で作品に深みを与えました。

井上大助の功績

井上大助は、少年スターとして華々しくデビューし、その後も様々な役柄を演じ分け、昭和の映画界に大きな足跡を残しました。晩年は不遇でしたが、彼の出演した作品は今も多くの人々に愛され続けています。彼の演技は、日本の映画史に永遠に刻まれることでしょう。

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