三大怪獣 地球最大の決戦

『三大怪獣 地球最大の決戦』

概要

1964年12月20日に公開された『三大怪獣 地球最大の決戦』は、日本映画史において重要な位置を占める特撮映画です。この作品は、「ゴジラシリーズ」の第五作目であり、『空の大怪獣 ラドン』と『モスラ対ゴジラ』の続編として位置付けられます。製作および配給は東宝が担当し、特に総天然色での上映やスコープ形式が特徴です。併映された作品には『花のお江戸の無責任』があり、主に1964年の年末興行に合わせて公開されました。興行成績は良好で、初回の観客動員数は432万人を超え、これは前作を上回っています。

この映画は、怪獣映画の10周年を記念して製作された一連の作品の中でも注目されるもので、特に本作ではゴジラが初めて善玉キャラクターとして描かれています。それまでは「人類の脅威」としてのイメージが強かったゴジラですが、本作では立場を変え、怪獣間の戦いを通じて新たな展開が見られました。怪獣同士が鳴き声で意思疎通を図る様子など、擬人化が進んだ描写も特徴です。また、宇宙からやってきた最強の怪獣キングギドラが初めて登場し、タイトルにある「三大怪獣」とは、地球上のゴジラ、ラドン、モスラを指しています。

ストーリー

物語は、日本が異常な温暖異変に見舞われ、連夜流星群が飛来したことに始まります。ある日、黒部峡谷に巨大な隕石が落下し、その直後に警視庁の進藤刑事はセルジナ公国の王女、サルノの護衛任務を命じられます。しかし、サルノを乗せた特別機は暗殺者の仕掛けた爆弾により墜落してしまいます。

進藤は、王女が金星人を名乗る男装の女性であると推測し、捜査を進めます。その女性は日本全土で危機の予言をする人物でした。間もなくして、阿蘇山から復活したラドンと、進藤が王女を確認するために向かった先で発見する他の怪獣たちが物語の中心となります。やがて、5,000年前に金星を滅ぼした宇宙最強の怪獣、キングギドラが姿を現し、都市を襲い始めます。

小美人たちは、モスラを呼び寄せ、モスラはゴジラとラドンに協力を求めますが、ゴジラとラドンは人類を助ける義理はないと最初は拒みます。しかし、モスラが一人でキングギドラに立ち向かう姿に感銘を受け、最終的には共闘することになります。この三大怪獣による激闘は、日本の各地を舞台に繰り広げられ、ついにはキングギドラが宇宙へと逃げ去り、サルノ王女も自我を取り戻します。

物語の終幕では、サルノ王女が進藤に淡い想いを打ち明ける中、モスラと小美人たちがインファント島へ帰る姿が描かれ、ゴジラとラドンは人類との争いを避けつつ、静かに海に向かいます。

登場キャラクター

• - ゴジラ: 本作の主役。悪役から善玉へと転身する。
• - ラドン: 他の怪獣たちと共に戦う。
• - モスラ: 地球の守護神として登場。
• - キングギドラ: 宇宙から襲来した主要な敵。
• - 小美人: 上記の怪獣たちと関わる重要なキャラクター。
• - 進藤刑事: 主人公。王女を守るために捜査を繰り広げる。
• - サルノ王女: 王位継承者で、金星人の血を引く。
• - 村井助教授: 科学者として隕石の調査を行っている。

制作背景

この作品は、特撮の巨匠、円谷英二が携わり、特技監督としても関わっています。本作は、急遽制作が決定されたため、特撮班は短期間での撮影を求められましたが、セットごとに工夫が施され、豪華な仕上がりとなっています。ストーリーや設定は、当時の社会情勢や流行を反映しているとも言われており、怪獣同士の擬人化や人間との交流が進んだ作品です。

本作は日本国内外で再上映され、多様なメディアでのリリースが行われています。特に、アメリカでは再編集され『Ghidorah, the Three-Headed Monster』として上映されました。これは、単なる映画のリメイクや続編を超え、1974年から1976年にかけて再放送も行われ、多くのファンに愛され続けています。

もう一度検索