井上日召

井上日召の生涯と業績

井上日召（いのうえ にっしょう、1886年4月12日 - 1967年3月4日）は、日本の宗教家、政治運動家、テロリストとして知られる重要な人物です。本名は井上 昭（いのうえ あきら）で、信者として日蓮宗を信奉していましたが、正式な僧侶にはなっていません。日召は「近代日蓮主義運動」の一環として、右翼のテロリスト集団「血盟団」と、戦後の右翼団体「護国団」のリーダーを務めました。

家族との関係

日召は元看護師の妻との間に一女をもうけました。彼が右翼活動に取り組む一方で、家族の生活は厳しく、日召はわずかな収入から50銭を持ち出して参与していました。妻は病弱であり、生活のため働いてはいましたが、家計は困窮を極めました。日召はたびたび家を空け、妻と娘に経済的・精神的な負担を強いることが多かったようです。

後に、日召が血盟団事件で無期懲役の判決を受けた際には、弁護士に「親はあっても大悟の親、親子の情愛に引かれて悩むことなし」と語り、面会の際には娘に「お父さんは死にゃしないのだから」「お母さんの言うことを、よく聞くのだよ」と伝えたとされています。

1940年に出所後、日召は再び右翼団体を設立し、戦後は神楽坂の芸者を愛人として扱い、家庭を顧みることはありませんでした。娘も一時的に右翼団体の事務職員として活動していたものの、家庭の困窮は続きました。

略歴

幼少期と教育

日召は1886年、医師の家の三男として誕生しました。彼の兄は海軍中佐の井上二三雄であり、教育面では旧制前橋中学校利根分校を経て、同本校を卒業し、早稲田大学や東洋協会専門学校（現：拓殖大学）に通いましたが、いずれも中退しています。

南満州鉄道と帰国

1909年に南満州鉄道に入社し、諜報活動に従事していましたが、1919年に兄の死を受けて帰国しました。

井上日召の誕生

1924年、神秘体験を経て井上日召と名乗るようになります。翌年には護国聖社を設立しましたが、道場を作ろうとした試みは失敗に終わります。その後、茨城県大洗町で曼荼羅を奉納し、加持祈祷の活動を始めました。

血盟団の結成と活動

1932年に右翼団体「血盟団」を結成し、「一人一殺」という思想のもと、要人暗殺を通じて国家改造を目指しました。この活動は、血盟団事件として認識されています。これにより、日召は無期懲役の判決を受けましたが、1940年には特赦を受けて出獄しました。

戦後の活動

1941年には「ひもろぎ塾」を設立し、近衛文麿邸に寄食して活動を続けましたが、次第に公職追放の対象となり、1947年以降は農村地域で講演を行っていました。1953年には右翼団体維新運動関東協議会の参与となり、その後護国団を結成し初代団長に就任しました。

しかし、護国団内での金銭トラブルや暴力行為が問題視され、彼は団長を辞任し、次第に表舞台から姿を消しました。日召は生涯の最後に黒幕からの経済的援助を受け、1967年に脳軟化症で亡くなりました。

影響と著作

日召の生涯は日本の右翼思想と運動に大きな影響を与え、彼に関する著書として「一人一殺 - 井上日召自伝」があります。また、映画『日本暗殺秘録』に登場し、彼の過去を描いた作品でもあります。

井上日召は、日本の歴史において極端な思想と行動を通じて、さまざまな論争を巻き起こした人物として記憶されています。

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