井伊直経

井伊直経は、寛政11年（1799年）に6代藩主・井伊直朗の七男として江戸で生まれました。文政9年（1826年）に先代藩主・井伊直暉の養嗣子となり、翌文政10年（1827年）に家督を相続し、越後与板藩の第8代藩主となりました。大坂加番を務めるなど、幕府の役職もこなしています。

直経は藩主として民政に力を注ぎました。特に文政11年（1828年）に発生した三条地震においては、復旧に尽力し、領民からの信頼を得ました。その善政ぶりは領民に深く感銘を与え、その後の藩政にも大きな影響を与えたとされています。

また、直経は仏教への信仰が篤く、西本願寺与板別院、与板八幡宮、徳昌寺などの建立に尽力しました。これらの寺社は現在も与板の地に残り、当時の文化を伝える貴重な遺産となっています。

これらの事績から、直経は「凱悌の君」と称えられました。「凱悌」とは、穏やかで人々に慕われる君主という意味で、その人柄と藩政が高く評価されていたことを示しています。

安政3年（1856年）6月30日、直経は江戸にて58歳で死去しました。跡は長男の直充が継ぎました。

系譜

実父: 井伊直朗
実母: 寿松院（岩松氏、側室）
養父: 井伊直暉
正室: 胤、浄信院（松平信志の娘）
側室: 村上氏
子女:
* 井伊直充（長男） - 生母は村上氏（側室）

井伊直経は、その治世において、領民を大切にし、文化の発展に貢献した名君として、今もなお語り継がれています。彼の足跡は、与板の地に深く刻まれ、その精神は後世にも受け継がれていくことでしょう。

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