井伊直朗

井伊直朗（いい なおあきら）は、江戸時代中期に活躍した越後与板藩の第6代藩主であり、直勝系井伊家の10代目当主にあたります。

生涯

寛延3年（1750年）5月4日、4代藩主・井伊直存の三男として江戸で生を受けました。幼少の頃より聡明であり、将来を嘱望されていました。

宝暦10年（1760年）12月25日、直朗にとって兄にあたる先代藩主・井伊直郡が急逝。その死の直前に直郡の養嗣子となり、翌宝暦11年（1761年）2月18日に家督を相続し、与板藩主の座に就きました。

藩主として、直朗は幕府の要職を歴任しました。大坂加番や奏者番といった役職をこなし、幕政に参与。天明元年（1781年）9月には西の丸若年寄に任命され、将軍世子の補佐役を務めました。文化元年（1804年）8月には城主格となり、参勤交代を行うことが義務付けられ、より一層幕府への貢献が求められました。

文政2年（1819年）12月20日、江戸にて70歳で生涯を閉じました。直朗には実子の男子がおらず、婿養子に迎えていた直広も早世していたため、直広の子である直暉が跡を継ぎました。

系譜

実父：井伊直存
実母：貞松院（古川氏、側室）
養父：井伊直郡
正室：宝池院（田沼意次の次女）
側室：吉田氏、寿松院（岩松氏）
子女：
松平忠翼（次男）：桑名藩主松平忠和の養子。生母は吉田氏。
井伊直経（七男）：生母は寿松院
井伊直広正室
粲（井伊直亮継室）
毛利高翰正室
戸沢正親継室
養子：井伊直広（井伊直幸の八男）

逸話

江戸時代の随筆集である『耳嚢』には、直朗に関する逸話が収録されています。藩主としての公務に励む一方で、茶道や書道などの文化にも造詣が深く、風流人としても知られていたようです。

次男の松平忠翼は桑名藩主となりました。直朗の血筋は、桑名藩にも受け継がれています。

井伊直朗は、与板藩の藩政に尽力し、文化の発展にも貢献した名君として、後世に語り継がれています。

参考文献

根岸鎮衛『耳嚢』全3冊　長谷川強校注、岩波書店〈岩波文庫〉、1991年。

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