井原笠岡軽便鉄道機関車第1号形蒸気機関車

井原笠岡軽便鉄道機関車第1号形蒸気機関車

井原笠岡軽便鉄道機関車第1号形蒸気機関車は、井原笠岡軽便鉄道（後の井笠鉄道）に在籍していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は1913年11月17日に井原－笠岡間の19.4kmの路線開業に備え、同年10月にドイツのオーレンシュタイン・ウント・コッペル社によって製造されました。3両が同時に製造され、形式機関車第壱號として登録されました。

製造背景

当初、計画されていたのは12t級C型機でしたが、建設資材価格の高騰により、実際に導入されたのは一回り小型の9t級B型機となりました。これにより、運転整備重量は9.14tであり、出力は50PSとなっています。この機関車は0-4-0(B)型の飽和式単式2気筒サイド・ウェルタンク機です。

構造的特徴

本機関車は、同時期に出荷された他の軽便鉄道用小型蒸気機関車と基本設計を共有していますが、大型のサイドタンクを装備しており、水タンクの容量は1.36m³となっています。これにより給水が困難な地域でも運用が可能となっています。弁装置には、堅実かつ動作が確実なワルシャート式を採用しており、シリンダの配置も工夫されています。

運用の歴史

井原笠岡軽便鉄道は、開業以来本機関車を主力機として使用しました。改造もほとんど行われず、1961年のホジ100形の導入まで約50年間にわたり運用され続けました。この間、本機関車は特に大きな不具合もなく、主力機関車として重要な役割を果たしました。

保存と復活運転

廃車後も3両すべてが解体されることなく、一部は保管されました。井笠鉄道は機関車第1号を1971年3月31日に最終列車で運行させた後、再度保管しました。在りし日の蒸気機関車ブームに乗り、西武鉄道に貸し出されたことで再び動き出しました。1973年からは「信玄号」として運行され、鉄道ファンに強い印象を与えました。

同形機について

本機関車は“50PS新設計”と呼ばれ、日本国内や外地でも同型の機関車が導入されました。製造された番号は、1913年のものが代表的で、他にも台湾向けの製品があります。これらもまた、日本の軽便鉄道の歴史を形成する重要な存在です。

井原笠岡軽便鉄道機関車第1号機は、その運用と歴史により、現在も多くの鉄道愛好者にとって記憶に残る存在となっています。保存状態も良好で、イベントなどでの展示も行われており、鉄道の過去を訪れる人たちに感動を与え続けています。

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