井戸良弘

井戸良弘の生涯

井戸良弘（いど よしひろ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、大和国の井戸城主として知られています。彼の家系である井戸氏は、大和地方の国人であり、筒井氏との関係が深いとされています。良弘はその兄、小殿之助良弘の後を継ぎ、井戸城を治め、添上郡内で2万石を有していました。特に筒井氏の娘と結婚したことから、当初は筒井氏に従って戦いに参加していました。

戦国の動乱

永禄2年（1559年）、松永久秀による大和地方への侵攻が始まりました。永禄3年（1560年）7月、松永は井戸城を攻撃し、筒井氏の軍の救援もあるが、交渉の結果として城を明け渡すこととなりました。戦国時代の武将たちが繰り広げる乱世の中で、良弘は松永氏に対抗するため、永禄5年（1562年）には彼らの側につき人質を差し出しますが、良弘のおかれた状況は次第に厳しくなっていました。

永禄8年（1565年）12月、良弘は再び筒井方に付く決断をし、この動きは松永側の人質である彼の娘を不幸な運命に導くこととなります。井戸城には筒井方の軍が配置され、良弘は松永方の古市郷に攻撃を仕掛けましたが、結果として失ったものも多かったと考えられています。

織田信長との関係

永禄11年（1568年）10月、良弘は上洛した足利義昭のもとに礼を尽くしますが、当時の織田信長が松永久秀に大和一国を支配することを認めていたため、服属を拒否されてしまいました。その後の元亀元年（1570年）には松永の多聞山城を攻めるも、またもや人質にしていた良弘の8歳の娘が命を落とす結果となりました。さらに、井戸城も永禄13年（1570年）の3月末に松永方に陥落し、翌月には完全に破却されました。

良弘は信長との対立で松永氏の没落の後、塙直政に従い生き残る道を選びます。直政の戦死後、筒井順慶が大和の支配を任されたため、再び筒井氏に属することとなります。天正6年（1578年）には、直政の改易に伴い、槇島城の城主として信長から任命され、戦の中でも筒井氏の指揮下で活躍することが予想されます。

最期の時

天正10年（1582年）には本能寺の変に続く山崎の戦いで都合により税不明瞭な態度を示し、迎え撃つ羽柴軍に加担しませんでした。良弘は槇島城を筒井氏に明け渡し、吉野へ逃れていきます。その後、奈良に潜伏する時期が続きましたが、天正12年（1584年）に順慶が死去した後、秀吉に従事するよう命じられ、新たな家臣としての道が開かれました。

また、良弘は時期は不明ながら細川忠興に仕官しました。慶長5年（1600年）には関ヶ原の戦いにおいて、東軍として丹波国の田辺城での籠城戦に参加し、西軍の小野木重勝軍との激闘を繰り広げました。戦後、彼は奈良に戻り、静かな余生を過ごしたと言われています。なお、井戸氏には良弘と名乗る人物が他にも存在しており、兄弟なども同様の名を持っていました。

各地での凄絶な戦いの中に身を置き、兼ねてからの筒井氏との関わりも含めて、このように井戸良弘は、戦国の波乱に翻弄されながらもその足跡を残した武将であったのです。

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