小野木重勝

小野木重勝の生涯

小野木重勝（おのぎ しげかつ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した日本の武将であり、大名です。豊臣氏の家臣として知られる彼は、丹波国の福知山城を治めていました。官位としては従五位下・縫殿助に任じられ、その諱は公郷（きみさと）や、重次、公知、国方とも称されました。

出自と前歴

重勝は中六人部の田野、現在の京都府福知山市がその出身地であると言われています。地元の歴史文献『福知山市史』によれば、彼はかつて福岡城の主であった兎ノ木縫殿介の一族とされ、赤井直正によって滅ぼされたとされています。一方で、異なる説も存在し、彼は波多野秀治の旗本であったが、主君を裏切る功績により福知山城を与えられたとも伝えられています。これらの出自については諸説あり、重勝の人生の背景に多くの謎が秘められています。

秀吉時代の活躍

重勝は比較的早い段階で羽柴秀吉の家臣となり、天正元年（1573年）には近江長浜で250貫文の封を受けるなど、次第にその地位を高めていきました。彼は黄母衣衆や大母衣衆としての役割を果たし、天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは活躍し、神戸城や淀城の守備に従事しました。さらに、天正13年には秀吉の関白就任に際し、従五位下・縫殿助に叙任されています。

天正15年（1587年）の九州征伐では、羽柴秀勝に従軍し、翌年には豊前国の巌谷城攻撃に参加しました。また、聚楽第行幸の際には秀吉の前駆を務めるなど、信任も厚かったのです。文禄の役（1592年）においては朝鮮へ渡海し、晋州城の攻撃に参加し、その後の伏見城の普請では重要な役割を果たしました。この時、彼は丹波福知山城主として3万1千石を領しており、後に4万石に加増されました。

関ヶ原

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは西軍に属し、大坂城下の警備を担当しました。重勝は7月20日に田辺城攻撃の大将として、丹波・但馬の諸大名を率いて田辺城を包囲しました。この戦闘は約2ヶ月間続き、最終的には後陽成天皇の勅命により田辺城は開城されました。しかし、9月15日の本戦で西軍が敗北すると重勝は撤退を余儀なくされ、福知山城へ攻撃を受けることになります。最終的には降伏し、寿仙院での自害を選びました。

逸話と妻

文禄の役で忠州城攻撃の際、重勝は足軽に鉄製の笠を着用させ、これが後に「小野木笠」と称されました。また、重勝には2人の妻がいました。1人はジョアンナという洗礼名を持つキリシタンで、高台院に仕えていた優れた歌人としても知られています。もう1人は島清興の娘であり、西軍敗北の知らせを受けて自刃しました。彼女の持ち物のひとつであるロザリオは、現在東京国立博物館に所蔵されています。

まとめ

小野木重勝の生涯は、戦国の動乱の中で波乱に満ちたものでした。彼の名前は歴史の中に刻まれており、数々の戦闘とその背後にある人間模様は、今なお人々の記憶に残っています。

もう一度検索