井笠鉄道機関車第2号形蒸気機関車

井笠鉄道機関車第2号形蒸気機関車

井笠鉄道機関車第2号形蒸気機関車は、井笠鉄道に所属する蒸気機関車として1917年に設計された特異な機体です。この機関車は、当時の技術革新を物語る存在であり、その設計には複雑なボイラー構造を採用していました。

機関車の背景

井笠鉄道は開業以来、乗客や貨物の輸送量が順調に増えていたため、さらなる機関車の増強が求められました。このニーズに応えるべく、1917年11月10日、井笠鉄道は形式機関車第弐號の設計認可を受けます。この機体は、当初水管ボイラーを搭載する予定でしたが、技術面での問題からその導入は難航しました。

水管ボイラーは、火室で水管を直接加熱することで、伝熱効率を高める利点を持ちますが、鉄道での振動により技術的な難しさが存在しました。加えて、他の鉄道会社でもこのボイラーを搭載した機関車は不成功に終わっており、井笠鉄道もその影響を受けることとなりました。

設計の変遷

井笠鉄道は新しい機関車の設計を見直し、煙管ボイラーを搭載する方針に切り替えました。この結果、設計変更の申請を行い、1919年には新たに認可を受けました。そして、購入された機体は大日本軌道鉄工部によって1890年製造のC型機関車という形で、運転整備重量12.19トン、出力70馬力の性能を持ちました。

機関車の構造

この機関車の構造は、C型飽和式単式2気筒のサイドタンク機であり、その重心が低いため優れた安定性を誇りました。しかし、井笠鉄道の特有の環境、特に降水日数が少ないことから、給水の必要性が高まり、大型の水タンクを搭載する必要がありました。タンクはボイラー両側に設置されるデザインで、保守を考慮した設計がなされていました。

また、ブレーキシステムは片押しシューによる手ブレーキに加え、蒸気ブレーキも装備されていました。

運用と改番

機関車は早速本線で運用が開始されたものの、多くの脱線事故を引き起こしました。これにより「4」の数字が「死」を連想させることから忌避され、1927年には番号が「8」に変更されました。しかし、構造的な問題が解決されなかったため、事故は依然として続きました。結果として、この機関車はその運用を終了し、最終的には他の新しい機関車に取って代わられました。

廃車後の経歴

廃車後、この機関車は佐世保鉄道に売却され、新たに形式ケ219を与えられました。その後もさまざまな経緯を経ながら運用されましたが、最終的には1944年に廃車となり、1950年まで使用されました。

この過程において、機関車の認可手続きが行われなかったため、正式な廃車届が運輸省に受理されず、そのままの状態で解体される運命にありました。

結論

井笠鉄道機関車第2号形蒸気機関車は、その複雑な設計と運用上の課題を抱えつつも、当時の技術革新を象徴する一台でした。今でもその記録を振り返ることで、日本の鉄道技術の発展を知る手がかりとなっているのです。

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