井草

井草（いぐさ）とは

井草は、東京都杉並区の最北部に位置する地域で、西武新宿線より北側に広がっています。現在の行政地名は、井草一丁目から井草五丁目までで、住居表示が実施されています。この地域は、練馬区と中野区に隣接しており、東西に走る西武新宿線を底辺とした台形のような形をしています。

地理

井草の西側は、千川通りを境に練馬区下石神井と接しています。東側は、住宅地の中を通る区界で、中野区の上鷺宮・鷺宮と隣接しています。南側は、杉並区の下井草・上井草と接しています。町域内は、主に住宅地として利用されており、南北には環八通り（井荻トンネル）、東西には新青梅街道が通っています。

町域の中心部である井草三丁目交差点で、環八通りと新青梅街道が交差しています。また、北端の八成橋交差点付近では、千川通り、環八通り、旧早稲田通りが交錯しています。かつて町域南部には井草川が流れていましたが、現在は暗渠化されています。

地価

2024年1月1日の公示地価によると、井草1丁目では1平方メートルあたり44万5000円、井草5丁目では1平方メートルあたり43万9000円となっています。

歴史

中世から近世にかけて、「井草」は現在の杉並区北部一帯を指す広い範囲の地名でした。井草村は、現在の井草、上井草、下井草をはじめ、今川、善福寺、桃井、清水の全域、上荻、西荻北の一部に及んでいました。江戸時代には、井草村が上井草村と下井草村に分かれましたが、両村を合わせて「井草村」と称したり、下井草村を単独で「井草村」と称することもあったようです。現在の井草は、江戸時代における下井草村の一部にあたります。

1963年9月1日、住居表示の実施により、現在の井草一丁目から五丁目が編成されました。この際、八成町、正保町、矢頭町、住吉町、上井草町（一部）が統合されました。井草は、杉並区内で最も早く住居表示が実施された地域の一つです。

現代

1996年には、井草四丁目に井草森公園が開園しました。この公園は、旧通産省機械技術研究所の跡地を利用して作られました。公園に隣接して、同じ年に不燃ゴミ圧縮施設である杉並中継所が作られましたが、この施設が稼働していた時期に周辺住民から健康被害を訴える声が多く上がり、社会問題となりました。その後、杉並中継所は2009年に廃止されています。

世帯数と人口

2024年3月1日現在、井草の世帯数は11,124世帯、人口は21,390人となっています。人口と世帯数は、国勢調査で定期的に調査されており、過去のデータも公開されています。

学区

井草の学区は以下の通りです（2016年1月時点）。

井草一丁目：区立井荻小学校、区立井荻中学校
井草二丁目：区立八成小学校、区立井荻中学校
井草三丁目：区立井荻小学校、区立井荻中学校
井草四丁目：区立井荻小学校、区立井荻中学校
井草五丁目：区立井荻小学校、区立井荻中学校

交通

井草の南側には、西武新宿線の下井草駅、井荻駅、上井草駅がほぼ1km間隔で並んでいます。これらの駅は町域外にありますが、それぞれ町域の東部、中部、西部から利用されています。

また、中央線の荻窪駅へバスや自転車で移動する人も多く見られます。

事業所

2021年の経済センサスによると、井草には373の事業所があり、従業員数は3,841人です。事業所数と従業員数は、経済センサスによって定期的に調査されており、過去のデータも公表されています。

施設

井草には、以下の施設があります。

井草森公園（四丁目）
井草観音堂（一丁目）
杉並区立八成小学校（二丁目）
カトリック下井草教会（二丁目）

その他

井草の郵便番号は167-0021で、荻窪郵便局が管轄しています。

参考文献

『日本歴史地名大系13　東京都の地名』（平凡社、2002年）
冨澤智宏「今川知行所四か村の概観」（大石学監修、東京学芸大学近世史研究会編『高家今川家の知行所支配』（名著出版会、2002年）所収）
犯罪事件研究倶楽部『日本凶悪犯罪大全』（文庫ぎんが堂、2011年）

関連項目

井草八幡宮 - 善福寺一丁目に所在。
杉並一家放火殺人事件 - 1986年に井草の建設会社社長宅で起きた放火殺人事件。
東京都立井草高等学校 - 練馬区上石神井二丁目に所在。
井草通り（東京都道444号下石神井大泉線） - 現在の「井草」地内は通らない。

外部リンク

杉並区
ザ下井草 - ウェイバックマシン

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