井関正昭

井関正昭：日本の近代美術史に貢献した美術史家

井関正昭（1928年1月25日 - 2017年10月6日）は、日本の近代美術史に大きな足跡を残した美術史家です。西洋と日本の近代美術史を専門とし、研究者、教育者、そして美術館館長として活躍しました。

生涯とキャリア

横浜市に生まれた井関氏は、1950年に東北大学法文学部美学美術史学科を卒業しました。その後、白柳美彦らと共に同人誌『カタルシス』に参加するなど、早くから美術界との関わりを深めています。

国際的な活動も盛んで、1984年にはローマ日本文化会館館長、在イタリア日本大使館公使を務めました。帰国後も、1988年から1994年にかけて北海道立近代美術館館長として、北海道の美術振興に貢献しました。一方、教育の分野では、1989年から1997年まで明星大学日本文化学部生活芸術学科主任教授として後進の育成にも力を注ぎました。

1997年には東京都庭園美術館館長に就任し、同館の運営に尽力しました。2016年には名誉館長となり、長年にわたる貢献が称えられました。2009年には旭日小綬章を受章しています。

研究と業績

井関氏の研究分野は、西洋と日本の近代美術史に及びます。特にイタリア近代美術への造詣が深く、数々の著書や翻訳を通してその知見を広く一般に伝えてきました。

主な著書として、『画家フォンタネージ』、『イタリアの近代美術 1880〜1980』、『日本の近代美術・入門 1800-1990』、『未来派 イタリア・ロシア・日本』、『私が愛したイタリアの美術』などがあります。これらの著作は、美術史研究の重要な資料となるだけでなく、一般の人々にも近代美術への理解を深める上で役立つものとなっています。

また、『ローマ　エアリアガイド海外』の解説や、『未来派　1909-1944』の構成・監修など、編纂にも携わっています。さらに、エンリコ・クリスポルティの『現代の絵画 21　戦後ヨーロッパの絵画 戦後ヨーロッパの前衛絵画』や、エンツォ・オルランディ編の『モディリアーニ カラー版世界の巨匠』など、多くの美術書の翻訳を通して、海外の美術情報を日本の読者に届けてきました。

井関正昭氏の功績

井関正昭氏は、研究者、教育者、そして美術館館長として、多方面で活躍し、日本の美術界の発展に大きく貢献しました。その業績は、数々の著書や翻訳、そして日本の美術館の運営を通じて、現在も日本の美術史研究や美術文化の発展に影響を与え続けています。彼の功績は、近代美術史研究を深め、多くの人々に美術への関心を高めることに大きく貢献しました。後世に残る多くの成果は、日本の美術文化への貢献として高く評価されています。

もう一度検索